「こいつがマスコミに圧力かけて、元県民局長の自殺原因を、知事のパワハラにしている」
兵庫県警に名誉毀損容疑などで書類送検された「NHK党」(旧NHKから国民を守る党)の立花孝志党首(57)は兵庫県知事選告示翌日の昨年11月1日、自身のX(旧ツイッター)で、県議会調査特別委員会(百条委)委員長だった奥谷謙一県議を名指しして、こう揶揄した。
さらに奥谷氏が出演したインターネット番組の様子を取り上げ、「(番組で)ウソついている奥谷謙一委員長が兵庫県民の敵」などと投稿。この投稿には約1・6万人の「いいね」がつき、閲覧回数は約86万ビュー(いずれも今年5月27日時点)に上った。
県議会の不信任決議を経て斎藤元彦知事が失職した後に行われた知事選で、立花氏は斎藤氏を応援するため出馬する異例の「2馬力選挙」を展開。斎藤氏を悪者に仕立て上げたなどとして、交流サイト(SNS)や街頭演説などで、奥谷氏ら百条委のメンバーを中心とした県議会やマスコミ報道に批判の矛先を向けた。
11月3日には、奥谷氏の自宅兼事務所前の路上で街頭演説。多くの聴衆が立花氏を囲む中、マイクを手に拡声器を同氏の自宅へ向け、「お前らは腐ってんねや」「出てこい奥谷ほんとに」と語気を荒らげた。
「ちょっとチャイムだけ鳴らしますか」。立花氏がそう言ってインターホンを鳴らすと、聴衆からは笑い声と拍手が巻き起こり、死亡した告発者の元県民局長をあてこするようにこう言い放った。「あまり脅して奥谷さんが自死されても困るのでこれくらいにしておく」。
さらに、いずれも百条委委員を務めた丸尾牧県議(60)や、竹内英明元県議=今年1月に死亡=の2県議の名も挙げ、「事務所にも行きます。当たり前ですよ」と言うと、聴衆からの割れんばかりの拍手が静かな住宅街に鳴り響いた。
この演説の様子は、立花氏自身のユーチューブアカウントなどでライブ配信され、SNS上で拡散。奥谷氏は、当時自宅に住んでいた母親を避難させたといい、「デマが広がることに恐怖を覚える」と吐露した。