兵庫県知事 斎藤元彦氏に情報漏洩指示疑惑 第三者委「可能性高い」と結論、県警が告発状受理

兵庫県の斎藤元彦知事を巡る内部告発問題は新たな展開を見せている。県が設置した第三者委員会は、告発者であった前県民局長の公用パソコンからのプライバシー情報漏洩について調査を進め、その報告書を発表した。委員会は、この情報漏洩が斎藤元彦知事の指示によるものである可能性が高いと結論づけたのだ。この問題は現在、兵庫県警による捜査の対象ともなっている。

第三者委員会の認定と関係者の証言

第三者委員会の調査によると、情報漏洩を行ったのは元総務部長の井ノ本知明氏であり、3人の県議に情報が渡されたとされる。委員会は、井ノ本氏と別の元総務部長A氏が前県民局長のパソコンから見つかった大量のプライバシー関連文書について斎藤知事に報告した際、知事が「そのような文書があることを議員に情報共有しといたら」と発言したと認定した。

この場に同席していた当時の片山安孝副知事も、知事からの指示があったと証言している。このように、井ノ本氏、A氏、片山副知事の3人は知事の指示があったと主張している一方、斎藤知事本人は一貫して指示を否定している状況だ。

情報漏洩疑惑の中心人物、兵庫県知事 斎藤元彦氏情報漏洩疑惑の中心人物、兵庫県知事 斎藤元彦氏

兵庫県警による捜査の開始

問題が進展する中、兵庫県警は6月2日、前県民局長の公用パソコンからの私的情報漏洩に関し、容疑者不詳のまま、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で県が提出した告発状を受理したことを明らかにした。

竹内元県議への誹謗中傷と第三者委の結論

この疑惑に関連して、SNSやYouTubeで斎藤知事を貶めた“黒幕”などとデマを流され、誹謗中傷の末に今年1月に亡くなった竹内英明元県議のケースも注目されている。5月31日放送の『報道特集』(TBS系)では、竹内氏の妻が夫への心ない追い込みについて悲痛な思いを語った。

第三者委員会は、竹内元県議が「情報の出所とは認められない」と結論づけ、逆に斎藤知事らが井ノ本氏に指示した可能性が高いと指摘しており、デマが完全に否定された形だ。告発された当事者が、告発者の信用失墜のために情報を漏洩させ、無関係の人物に罪を着せようとしたとすれば、人としての道義に反する行為と言える。

知事の対応と今後の展望

斎藤知事は6月4日の定例記者会見で、6日にも自身の給与を50%カットする条例改正案を県議会に提案する考えを示した。しかし、前総務部長への指示の可能性については、重ねて「指示したことはない」と否定した。

今後の捜査機関の動きについて、森實法律事務所の森實健太弁護士は、「まずは3人を含めた周辺関係者への聴き取りが行われるだろう。仮に指示があった場合、メールやSNS等も確認対象となり得る」と解説。さらに、「証言がどこまで信用できるか」「証言を裏付ける物的証拠があるか」が起訴のポイントになるとの見解を示し、共犯者の証言は慎重に判断される可能性に言及した。

関係者の証言と第三者委員会の結論、そして知事自身の否定が対立する中、兵庫県のトップである斎藤知事はこのまま職務を続けるのだろうか。今後の捜査の行方が注目される。

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