2025年4月13日に開幕した「EXPO2025 大阪・関西万博」は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、158カ国・地域と7つの国際機関が参加し、10月13日まで半年間にわたり開催されています。開幕前には建設費高騰、パビリオン未完成、メタンガス問題など様々な懸念が報じられましたが、実際に会場を訪れた人々からは肯定的な声も聞かれ、人気のパビリオンには数時間待ちの行列ができるほどの盛況を見せています。
本記事では、WEBアンケートツール「Freeasy」を用いて、大阪・関西万博に行った20~69歳の男女300人を対象に実施された「行列に並ぶ価値があるパビリオン」に関するアンケート調査の結果を基に、来場者が高く評価したパビリオンをランキング形式で紹介します。
2025年大阪・関西万博:批判を超えた来場者の声
万博開幕前には多くのメディアでネガティブな側面が強調されていましたが、一度会場に足を踏み入れた来場者からは「すごくよかった」「世界の文化に触れて感動した」といった好意的な感想が寄せられています。これは、実際に体験することで得られる価値が、事前の報道とは異なる側面を持っていることを示唆しています。特に注目のパビリオンでは長い待ち時間が発生しており、それでも多くの人が「並ぶ価値がある」と感じていることが、本調査の背景にあります。
行列に並ぶ価値あり!パビリオンランキング調査概要
本調査は、2025年大阪・関西万博に実際に来場した20歳から69歳の男女300人を対象に、WEBアンケート形式で実施されました。質問内容は、数あるパビリオンの中で「行列に並んででも見る価値がある」と感じたものを挙げてもらうというものです。その回答を集計し、ランキングとしてまとめることで、来場者の生の声に基づいた「おすすめ」パビリオンを明らかにすることを目的としています。
大阪・関西万博 会場内のにぎわい、人気パビリオンの来場者たち
第3位:日本の技術と文化が融合する「日本館」
第3位にランクインしたのは、開催国である日本の「日本館」です。東京2020オリンピックの聖火台も手掛けたデザイナー、佐藤オオキ氏が総合プロデューサーを務め、「いのちと、いのちの、あいだに」をテーマとしています。パビリオンの外観は、無数の木の板が円を描くように配置された独特で美しいデザインが特徴です。これらの木の板は、万博終了後のリユースを考慮した設計となっています。
展示内容では、会場内で発生した生ごみをエネルギーに変換するバイオガスプラントが「循環」のコンセプトを具体的に示しています。また、初めて一般公開された世界最大級の「火星の石」や、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った「小惑星の砂」といった貴重な学術展示も見どころです。さらに、ハローキティやドラえもんといった日本を代表する人気キャラクターも登場し、幅広い層の来場者を楽しませています。日本の技術力、文化、そして未来への取り組みを体験できる点が高く評価され、多くの来場者が「さすが日本」「建物のデザインがきれい」「興味のある展示が多い」「独特なテクノロジーを感じた」といった感想を寄せています。
第2位:宇宙から食まで多才な「アメリカパビリオン」
第2位は、宇宙開発から食文化まで、多岐にわたる魅力を持つ「アメリカパビリオン」です。三角形の建物2棟が並び、その上部にキューブが浮かぶようなユニークな設計となっています。建物の壁面には巨大なLEDスクリーンが設置され、アメリカ各地の象徴的な風景や文化が映し出され、来場者を歓迎します。
館内には5つの没入型展示エリアがあり、特に「宇宙開発」エリアではNASAのロケット打ち上げを疑似体験できる展示が人気です。注目度の高い展示の一つに「月の石」があります。これは1970年の大阪万博でも大きな話題を呼んだ展示で、今回の万博でも多くの人がこの月の石を見るためにアメリカ館を訪れています。展示だけでなく、併設されたレストランも好評です。ハンバーガーやクラムチャウダー、アップルパイといった定番のアメリカンフードを楽しむことができ、食の面でもアメリカ文化を堪能できます。アンケート回答者からは「アメリカ館が一番良かった」「今まで体験したことがない体験が出来た」「月の石はやっぱり見てみたかった」「レストランも美味しい」といった声が多く、期待を上回る体験ができる点が評価の決め手となっています。
第1位:圧倒的な芸術性と食の魅力「イタリアパビリオン also hosting the Holy See」
そして、今回のランキング第1位に輝いたのは、「イタリアパビリオン also hosting the Holy See」(聖地教皇庁も参加)です。イタリアパビリオンの最大の魅力は、その「芸術性の高さ」にあります。日本では初めて公開される古代ローマ彫刻『ファルネーゼのアトラス』をはじめ、バチカン美術館が所蔵するカラヴァッジョの名画『キリストの埋葬』、レオナルド・ダ・ヴィンチの直筆スケッチなど、通常では見ることが難しい貴重な芸術作品が多数展示されています。
パビリオンの建物自体も、ルネサンス期の都市をイメージした芸術的なデザインとなっており、見る者を惹きつけます。屋上には会場内でも最大級の規模を誇る空中庭園があり、万博会場全体を見渡しながら、夕暮れ時や夜景も楽しめる特別な空間が提供されています。さらに、イタリアといえば「食」も欠かせません。併設レストランでは、定番イタリア料理に加えて、イタリア国内18の州の郷土料理が週替わりで提供されるなど、食文化の多様性も体験できます。圧倒的な芸術作品、魅力的な食、そして美しい建築デザインが融合したイタリアパビリオンは、万博でも屈指の人気を誇り、報道では待ち時間が6時間を超えることもあるとされていますが、それでも多くの来場者が「国の威信をかけてきている」「旅行に行っても見られない展示物を見れた」「食べ物がおいしい」「感動を得られた」と、並んででも見る価値があると評価しています。
結論
開幕前から様々な課題が指摘された2025年大阪・関西万博ですが、実際に会場を訪れた来場者の声からは、批判を乗り越える魅力を持つパビリオンが存在することが明らかになりました。今回の調査で上位にランクインした日本館、アメリカパビリオン、イタリアパビリオンは、それぞれ独自の切り口で来場者に価値ある体験を提供しており、長い行列ができるのも納得の結果と言えるでしょう。これらのパビリオンは、万博を訪れる多くの人々にとって、忘れられない思い出となるハイライトの一つとなる可能性が高いです。