「最後から二番目の恋」と鎌倉:聖地となった舞台裏と選ばれた理由

現在放送中のフジテレビ系月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』は、2012年に放送が始まり、2014年に続編、そして2025年には11年ぶりにシリーズ第3弾として復活した人気シリーズです。小泉今日子さん演じるテレビドラマプロデューサー「千明」と、中井貴一さん演じる鎌倉市役所職員「和平」(『続・続』では定年後の再任用)を中心にしたラブ・コメディが、脚本家・岡田惠和氏の手によって描かれています。

シリーズが開始されてから長い年月が経ち、『続・続』では登場人物たちの「老い」や「変化」が丁寧に描かれており、「静かな会話に人生が詰まっている」など、視聴者から共感の声が多数聞かれています。

このドラマにとって、古都・鎌倉は単なる背景ではなく、登場人物たちが生活する場所として生き生きと描かれる不可欠な舞台です。シリーズ全作を通じて実際に鎌倉でロケが行われており、その美しい街並みや自然が物語に深みを与えています。

主なロケ地には、主人公二人の家の最寄り駅、近所に設定されている神社やカフェ、そして美しい海岸などがあります。これらの場所はドラマに度々登場するため、2012年の初回放送以降、多くのファンにとっての「聖地」となり、現在放送中の期間中も賑わいを見せています。ファンはこれらの場所を訪れることで、ドラマの世界観をより深く体験しています。

人気ドラマ「最後から二番目の恋」のロゴと鎌倉の風景。物語の主要な舞台を示唆する画像。人気ドラマ「最後から二番目の恋」のロゴと鎌倉の風景。物語の主要な舞台を示唆する画像。

いまや「最後から二番目の恋」は鎌倉を象徴するドラマ作品の一つと言えるでしょう。ドラマと鎌倉という舞台との“深い関係”は、シリーズ第1弾の企画段階から綿密に検討されて始まりました。単に風景が美しいからという理由だけではなく、具体的な背景や人物設定が鎌倉の特性と結びついていたのです。

フジテレビのドラマ映画制作センター・プロデューサーである若松央樹氏によると、企画当初は長野や金沢などもロケ地の候補に挙がっていたそうです。しかし、脚本の岡田氏と演出の宮本理江子氏が鎌倉の複数のカフェを訪れた際、興味深い事実を発見しました。それは、カフェの上に住居を構えて生活している人々が多く、しかもその多くが東京からの移住者であったということです。この発見が、都心から日帰り圏内でありながらも独自のコミュニティやライフスタイルが存在する鎌倉を舞台とする設定へと繋がった大きな理由の一つになったとのことです。

結論として、「最後から二番目の恋」シリーズの成功は、単に魅力的な脚本や俳優の演技だけでなく、物語の精神性や登場人物の生き方と深く共鳴する舞台として鎌倉が選ばれ、その魅力を最大限に引き出したことにも起因しています。企画段階での綿密なリサーチと、鎌倉の持つ「移住者が多い」「都心から近いが独自の空気感がある」といった現実的な側面が、ドラマの世界観構築に不可欠な要素となったのです。

Source: Yahoo!ニュース / 東洋経済オンライン