天皇皇后両陛下は2024年6月9日、ご結婚から32年目の記念日を迎えられました。お二人の出会いは1986年のスペイン王女歓迎茶会に遡ります。一度交際が途切れた時期もありましたが、1992年夏に再会。同年年末には、皇太子時代の陛下が鴨場で「僕が一生、全力でお守りします」と雅子さまにプロポーズされました。
雅子さまがまだ大学生だったころから、ご結婚直前までのおよそ10年間、美容師として雅子さまの髪型を支え続けた多田修さんが、当時の貴重な思い出を振り返ります。雅子さまの素顔や、国際舞台を控えた時期の髪に関するやり取りなどが語られました。
流行の「ソバージュ」提案と雅子さまの反応
多田さんは、ご自身が勤めていた西麻布の美容院「ヒロイン」で、リラックスした様子の雅子さま(当時は小和田雅子さん)に、ある提案をしたことがあります。それは、当時流行していた「ソバージュ」ヘアについてでした。
バブル経済は終焉を迎えていましたが、ソバージュヘアは依然として世間で人気を集めていました。多田さんは、雅子さまにも似合うのではないかと考え、切り出してみたのです。
しかし、雅子さまは「まあ…」と優しく微笑むだけで、その提案を穏やかにはぐらかされたと言います。結局、ソバージュヘアが実現することはなかったと、多田さんは懐かしそうに語りました。このエピソードからは、ご自身のスタイルやTPOをわきまえた雅子さまの一面が垣間見えます。
大学生から婚約まで、美容師が見守った10年間
雅子さまがこの美容室に通い始めたのは、妹さんのご紹介がきっかけでした。双葉中高時代の同級生も多く利用していた店だったそうです。
多田さんは、外務省職員として活躍されていた時期から、お妃候補として国内外から注目を集めるようになり、そして皇太子さま(当時)からのプロポーズを経てご成婚が決まるまでの重要な時期、雅子さまの専属美容師として、その髪型や身だしなみをサポートしました。公私にわたる多忙な日々を送る雅子さまにとって、リラックスできる美容院での時間は、心身を整える大切なひとときだったのかもしれません。
英国留学中のヘアカット相談と「ボブ」の勧め
雅子さまが外務省職員として英国オックスフォード大学への留学が決まった際には、多田さんは雅子さまから特別な相談を受けました。それは、「現地でのヘアカットをどうしたらよいでしょうか」という内容でした。
海外でのヘアカットは、日本の美容室とは感覚が大きく異なることが少なくありません。言葉の壁やスタイルの違いから、希望通りの髪型にならずに驚く失敗談も珍しくありません。
多田さんは、海外での失敗を避けるために、雅子さまに具体的なアドバイスを送りました。「ボブカットを維持して、毛先を定期的にそろえてもらうのが良いと思いますよ」と勧めました。これは、比較的シンプルで、どこでもメンテナンスしやすいスタイルと考えられたからです。
1988年に英国へ出発された際の雅子さまのヘアスタイルは、毛先を内側に軽く巻いたショートボブでした。そして、留学中も多田さんのアドバイス通り、美しいボブヘアを維持されていたとのことです。国際的な舞台で活躍される時期も、彼女の知性と品格を引き立てるボブスタイルは健在でした。
皇后雅子さまの婚約時代、自宅前で捉えられたワンレングス・ボブ姿。美容師も語る美しさを保った髪型。1993年1月8日。
結論:髪型から見る雅子さまの一面
多田修さんのような近しい立場で雅子さまを支えた人々の証言は、公にはあまり知られていない雅子さまの人間性や、当時の状況に応じた細やかな配慮を垣間見せてくれます。流行に安易に流されず、ご自身のスタイルを大切にする姿勢や、海外での生活を見据えて専門家のアドバイスを求める実用的な感覚など、これらのエピソードは「小和田雅子さん」という一人の女性が、後に皇后となられるまでの道のりをどのように歩まれたのかを理解する上で、貴重な手がかりとなります。ご成婚32周年という記念すべき日に、改めて皇后さまのこれまでの歩みに思いを馳せることができます。
参考資料:
- Yahoo!ニュース / dot. (アサヒ) 記事 (元の記事URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/c979de9bb097aa033f43441a9d3420307f259e36)