近年、地球温暖化の影響で日本は台風や豪雨による水害リスクが増大しています。毎年のように発生する大規模な被害に対し、気象庁気象研究所主任研究官・荒木健太郎氏は「自然を知り、正しくおそれ、向き合うこと」が防災の要と説きます。本記事では、氏の新著から水害の原因である積乱雲の正体とメカニズム、そして身を守るための基本的な水害対策を解説します。水害大国とも言える日本において、命を守るための知識を深め、適切な備えを行うためにお役立てください。
日本列島が抱える水害の現実
地震と思われがちですが、水害も日本の大きなリスクです。過去10年で全国の約98%の市区町村が水害を経験。これは、日本が梅雨や台風の通り道である地理的宿命と関連が深いです。水害列島日本の現実を認識することが、対策の出発点となります。
地球温暖化による気候変動で増加する日本の水害リスクと防災対策
豪雨・ゲリラ豪雨の元凶「積乱雲」
大雨や「ゲリラ豪雨」の主犯は積乱雲です。雷を伴うため雷雲とも。晴天から急変し、土砂降りや雷をもたらします。予測は難しいですが、「大気の状態が不安定」「雷雨」「突風注意」などの天気予報キーワードは要注意サインです。
積乱雲の発達と急な天候変化
積乱雲は、暖かく湿った空気が持ち上げられてできる積雲がさらに発達したものです。夏は高度15kmにもなりますが、水平は数km〜十数kmと狭く、寿命は30分〜1時間と短い。この性質が、局地的で急激な天気の変化を引き起こします。
雨量(降水量)の単位と意味
天気予報で聞く雨量(降水量)は、降った雨が溜まった深さをmmで示します。「1時間に50mm」は5cmの深さ。この数値だけでは被害イメージが掴みにくいこともあります。
日本の増大する水害リスクに対抗するには、積乱雲の性質や雨量の意味など、自然現象の理解が基礎となります。「自然を知り、正しくおそれ、向き合う」姿勢で、日頃からハザードマップ確認や避難計画策定など、具体的な防災対策を進めましょう。