「大学受験」は多くの10代にとって人生における大きな節目です。現在の日本社会では、どの大学に進学するかがその後の職業選択の可能性や将来の選択肢に影響を与える側面があるため、そのインパクトは非常に大きいと言えます。このような状況の中、「自分らしい大学進学」を実現するための一助となる書籍『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』が出版されました。本書では、大学受験や人生について現実的な視点から掘り下げています。本記事では、発刊を記念して行われた著者びーやま氏への特別インタビューの内容をお届けし、特に近年注目されている「奨学金」の問題に焦点を当てます。
大学受験や将来、奨学金について悩む学生のイメージ
奨学金を巡る現状と懸念
近年、「奨学金」が社会的な大きなテーマとなっています。その背景には、大学に進学するために奨学金を借りたものの、卒業後の返済に苦労し、生活が厳しくなるケースが増えていることがあります。びーやま氏によると、たとえ優秀な学生で、卒業後にいわゆる「いい会社」に就職できたとしても、20代から30代にかけて奨学金の返済に追われ、経済的に余裕がなくなってしまう状況が見られます。この問題は、学生側の問題だけでなく、制度設計を含めたより広範な課題が関わっている可能性があり、非常に複雑であると指摘されています。
「借りてまで進学」は正しい選択か?
奨学金返済の困難な事例を聞くと、これから進学を考える学生やその保護者は、奨学金を借りてまで大学へ進学することに恐怖心を抱いたり、尻込みしてしまったりすることがあるのは自然な感情です。特に、私立大学への進学を希望する場合、必要な奨学金の額も大きくなる傾向があるため、不安はさらに増すでしょう。では、奨学金を借りるくらいなら進学しない方が良いのでしょうか?
びーやま氏は、これに対して「一概にそうとは言い切れない」と述べます。奨学金は、もし上手に活用することができれば、非常に有用な制度となり得ると強調します。しかし同時に、奨学金を借りる側の「力量」や計画性がかなり問われる制度であることも事実です。
大学進学の生涯におけるメリット
奨学金を借りて進学することの是非を考える上で、大学進学が生涯にもたらすメリットも考慮する必要があります。例えば、いわゆる「名門大学」に進学した場合、卒業後の生涯収入はそうでない場合に比べて大きくなる傾向があるというデータがあります。このような場合、借り入れた奨学金の返済額以上の経済的なメリットを人生全体で享受できる可能性があり、必ずしも悪い選択とは言えないと考えられます。
卒業後の選択肢と奨学金
ただし、このような生涯収入のメリットを享受できるのは、基本的に卒業後に就職することを前提とした考え方です。大学院へ進み、さらに高度な研究を続けることを志す場合、必要な奨学金の額は学部時代よりも増加します。そのため、奨学金返済の負担を考えると、学部卒業で就職せざるを得ないと考える人も出てきます。びーやま氏は、このように経済的な理由から研究者を志す優秀な人材が研究の道を断念し、就職を選ばざるを得ない状況は、日本全体にとっても大きな損失となり得ると懸念を示しています。
結論として、奨学金は大学進学の機会を広げる有用な手段となり得る一方で、その利用には将来を見据えた慎重な計画と「借りる側の力量」が求められます。特に、返済の負担が卒業後の進路選択(就職か研究かなど)に影響を与える可能性があり、名門大学への進学による生涯収入増加の可能性と、奨学金という負債を抱えることのトレードオフを十分に理解した上で、後悔しない選択をすることが重要です。大学受験は確かに大きな節目ですが、その後の人生、そして奨学金返済を含む経済的な側面まで見据えた多角的な視点が必要とされています。
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