小泉進次郎農相は9日の参院決算委員会で、民間部門が保有するコメの在庫量について、政府としてその全体像を正確に把握できていない現状を明らかにした。小泉農相は、「民間在庫の流れ、ストックを正確にどこまで把握できているかについては、農水省自身は謙虚にならないといけないし、むしろ反省するところがあるのではないかと思っている」と述べ、データ把握の不十分さを認めた。
コメの民間在庫把握について国会で答弁する小泉進次郎農相
コメの生産量と需要のギャップ
この問題提起は、立憲民主党の横沢高徳議員からの質問に答える形で行われた。横沢議員は、農水省が公表しているデータに基づき、2021年から2023年までの3年間において、コメの生産量が国内需要を下回っている現状を指摘。「そもそもお米の量は足りているのか」と質した。
これに対し、小泉農相は、農水省の公表データには民間在庫が含まれていないことに言及。「民間在庫を入れたら、圧倒的に需要を供給は上回っているんです」と述べ、総量としては供給が需要を上回っているとの認識を示した。
民間在庫把握の現状と課題
しかし、小泉農相は同時に、その民間在庫の把握が十分でないことを率直に認めた。「ただ、これをもって胸を張る、というつもりはない」とし、特に近年増加している中食(持ち帰り・宅配)や外食産業における民間在庫の動きについて、「十分に把握し切れていないのが率直なところです」と課題を挙げた。
今後のデータ把握に向けた必要性
小泉農相は、食料供給網の強靱化や有事への備えといった観点からも、民間在庫の正確なデータ把握が不可欠であるとの考えを示した。例えば、コンビニエンスストアが迅速に店頭に備蓄米を並べられる背景には、一定の在庫や設備があることを指摘し、「そういう普段からの構えというか、そういったことはより精緻に、政府が把握していく必要がある」と述べた。今後、民間の在庫データもより詳細に収集する必要があるとの認識を強調した。
野党からの指摘と改善への要求
横沢議員は、民間在庫が既存のデータに含まれていない点を改めて指摘し、「そこをこれまで農水省として把握できていなかった部分を、把握していくことが政府として大事だと思う」と述べた。さらに、「一刻も早くスピード感を持って把握していかないと、政策を打つ手段が変わると思う」と、データ把握の遅れが適切な政策立案を妨げる可能性があると警告。政府に対し、民間のコメ在庫把握に早急に取り組むよう強く求めた。
結論
今回の国会答弁により、日本の食料安全保障において重要な要素であるコメの民間在庫について、政府(農水省)がその実態を十分に把握できていないことが明らかになった。生産量が需要を下回る状況が続く中で、総供給量の判断や有事対応のためにも、民間在庫データの正確かつ迅速な収集が政府の喫緊の課題として浮上した。今後、農水省がどのようにデータ把握体制を強化していくかが注目される。
出典:
https://news.yahoo.co.jp/articles/a80319235605b282d310f5d34dc2440ea793f393