2025年度大学入試において、京都大学合格者数で全国トップに立った大阪府立北野高等学校。107人と唯一3桁台を達成し、同校はこれで8年連続の京大合格者数1位を維持しています。大阪府のグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)にも指定されているこの名門校は、一体どのような教育を行っているのでしょうか。浅田充彦校長に、その独自の取り組みと秘訣を聞きました。
大阪府立北野高等学校の校舎。京大合格者数で全国トップを誇る進学校。
基礎学力と思考力の育成を両立
浅田校長はまず、同校に入学する生徒の質の高さを認めつつも、「さらに本校の授業で基礎学力を固めつつ思考力を深めていきます」と語ります。東京大学や京都大学のような難関大学に合格するためには、意外に思われるかもしれませんが、強固な基礎学力が不可欠だと言います。「基礎学力があることで、問題を取りこぼさないんです」と、その重要性を強調します。
独自の「65分授業」がもたらす効果
北野高校では、一般的な高校の50分×6時間授業ではなく、65分×5時間授業を採用しています。朝夕のホームルームも廃止し、生徒主体の運営を行っています。この65分授業の狙いは二つあります。一つは純粋な授業時間の確保(1日あたり25分延長)。もう一つは、生徒同士が話し合ったり、深く考えたりする協働学習や、演習、実験にじっくりと取り組む時間を確保することです。これにより、質の高い学びを実現しています。
文理学科による柔軟なカリキュラム
2011年度からは「文理学科」を設置。2年生に進級する際に「文科(人文社会国際系)」と「理科(理数探究系)」に分かれるカリキュラムを導入しました。これは、従来の普通科の枠組みにとらわれず、より柔軟で発展的な学習内容を提供することを目的としています。「理数数学」「理数化学」「異文化理解」など、探究的な要素を含んだ独自の科目が設けられています。
学びの意欲を引き出す教育哲学
浅田校長は、全ての教員の授業を定期的に参観しており、その中で同校最大の強みとして挙げるのが「とにかく授業が楽しいこと」です。学力を飛躍させるためには、授業時間だけでなく、生徒自身がどれだけ自主的に勉強に取り組むかが鍵となります。「楽しいと思わないと、勉強は続けられません」と校長は述べ、生徒の学習意欲を刺激する授業の重要性を力説します。また、同校ではいわゆる「進路指導」は行わず、生徒が自らの未来を切り開いていくための「支援」に重点を置いています。
北野高校の浅田充彦校長。生徒の自主性を重んじる教育方針について語る。
結論として、北野高校が長年にわたり京都大学合格者数でトップを維持している背景には、強固な基礎学力と思考力を育むカリキュラム、効率的かつ探究的な学びを可能にする65分授業、そして何よりも生徒の知的好奇心と学習意欲を最大限に引き出す「楽しい授業」を中心とした教育哲学があると言えるでしょう。生徒一人ひとりが主体性を持ち、自らの進路を切り開く力を育む環境が、難関大学への高い実績につながっています。
【出典】https://news.yahoo.co.jp/articles/5d360af4b333dd6176f4be003ca8f19bd02a33e4