コメダ珈琲店が過去最高益達成!強みは「くつろぎ」と独自の顧客体験

カフェ・喫茶店チェーンの「3強」として知られるスターバックス、ドトール、そして名古屋発祥のコメダ珈琲店。そのコメダ珈琲店を展開するコメダホールディングスが、直近の決算期で過去最高益を記録しました。コーヒー豆価格の高騰という逆風下でのこの成果は、同社の経営戦略の強さを示唆しています。この記事では、コメダホールディングスの決算内容を深掘りし、その成功を支える要因、特に他社との差別化ポイントである「くつろぎ」を提供する独自戦略に焦点を当てて解説します。

コメダHD、過去最高益達成の背景

コメダホールディングスが発表した2025年2月期の通期決算によると、売上収益は470.5億円に達し、前年度から38.2億円の大幅な増加を記録しました。営業利益も88.2億円となり、これは過去最高益です。

この好調な業績を牽引したのは、「既存店の強さ」です。昨年4月の価格改定後、一時的に客足が鈍る場面も見られましたが、フランチャイズ店への卸売り収入は既存店ベースで前年比105.1%増を達成。特に2024年12月、2025年1月にはそれぞれ108.3%増、112.5%増とさらに伸びを加速させています。限定商品の投入も売り上げ増加に貢献しており、「シロノワール 天空の抹茶」や「クラブハリエ監修・ショコラノワール」といった話題性のあるフードメニューがヒットし、客単価向上につながりました。

コメダ珈琲店の温もりあるコーヒーカップ、顧客満足と長居を促す象徴コメダ珈琲店の温もりあるコーヒーカップ、顧客満足と長居を促す象徴

原材料高騰の逆風と利益構造

一方で、経営環境は決して平坦ではありませんでした。世界的なコーヒー豆価格の高騰は、コメダホールディングスの原材料費に大きな影響を与え、前年と比較して6.9億円もの費用増加が発生しています。このコスト増が、好調な売上収益の伸びにもかかわらず、営業利益の伸びを前年比1%増に留める要因となりました。逆風の中でも最高益を維持できたことは評価できるものの、利益率への圧力は明らかです。

「街のリビングルーム」 コメダが提供する独自の顧客体験

コメダ珈琲店がスターバックスやドトールといった競合と一線を画す最大の強みは、顧客に提供する「くつろげる環境」にあります。多くのカフェが回転率を重視した簡易的な座席を提供しがちなのに対し、コメダは「長居したくなる空間」づくりを徹底しています。

コメダの椅子は背もたれが深く、クッション性も高いため、ゆったりと体を預けることができます。一人席の座席幅は約95cmと広く確保されており、隣を気にせず肘を広げてくつろぐことが可能です。また、電源コンセントを備えた席も多く、スマートフォンを充電しながら時間を過ごせる点も、デジタル機器が手放せない現代の顧客ニーズに応えています。

スターバックスが「家庭でも職場でもない第三の場所(サードプレイス)」をコンセプトとするのに対し、コメダは「自宅の延長のような『街のリビングルーム』」を目指しています。このコンセプトに基づいた店舗設計とサービスが、顧客に「長居したい」と感じさせ、コーヒーやフードに1500円を超える金額を支払っても満足感を得られる要因となっています。顧客が心地よさを感じる空間を提供することで、単なる飲食の場に留まらない価値を創出しているのです。

結論

コメダホールディングスの過去最高益達成は、既存店の強さ、魅力的なフードメニューの展開に加え、競合との差別化を明確にする「くつろぎ」を重視した顧客体験の提供が大きく貢献しています。原材料費の高騰というコスト増に直面しながらも業績を伸ばせたことは、同社のブランド力と顧客基盤の強固さを示しています。今後も「街のリビングルーム」という独自の立ち位置を維持し、変化する市場環境に対応しながら、どのように成長を続けていくか注目されます。

参考資料

https://news.yahoo.co.jp/articles/2b442cffe6aaddcb088b62e4374201d9e133beb2