国民民主党は11日、今夏実施される見通しの参院選について、全国比例での擁立を内定していた山尾志桜里元衆院議員(50)の公認内定を取り消すと発表した。同日、国会内で開かれた両院議員総会で正式に了承された。同党は前日の10日に山尾氏が国会内で出馬会見を開いたばかりだったが、党内の強い反発を受け、一夜にして方針を転換した形となる。
山尾氏は10日の会見で「この夏の参議院選挙、国民民主党から全国比例での挑戦を決めていただきました山尾志桜里です」と述べ、約3年ぶりの国政復帰に意欲を示していた。特に、自身の政治活動の柱として「国民民主党の憲法改正の論点整理。これを2025年に、しっかり時代の要請に合わせてアップデートをしていく。これがまずは、私の一番の仕事だと思っております」と強調し、憲法論議への貢献を主要な目標に掲げていた。
今回の公認取り消しの経緯について、榛葉賀津也幹事長(58)は説明を行った。同氏によると、山尾氏の擁立は「法律家としてのご自身の能力を見込んで」のものだったとしながらも、過去の言動や一部で指摘された疑惑などを理由に、全国の国民民主党を支える都道府県連や地方自治体議員から「今回の山尾さんの公認は見送ってほしい」という声が同音に多数寄せられていたことを明らかにした。特に、9日に開催された全国幹事長会議では、全ての都道府県から同様の見送りを求める声があったという。
党内には山尾氏に「弁明のチャンスを与えるべき」との声もあり、前日の会見実施につながった側面もある。しかし榛葉幹事長は、その会見が「多くの皆さんから、疑問に払拭をする会見ではなかった」との声が党内に広がったと述べた。11日の両院議員懇談会においても、「党が一丸となって来る参院選を戦う環境を整えるためには、山尾さんの公認を見送る、つまり公認内定を公認に切り替える作業は控えるべきだ」との意見が相次いだという。
国民民主党の両院議員総会にて、公認内定取り消しの決定を聞く山尾志桜里氏
これらの状況を受け、同日開催された両院議員総会にて、山尾氏の「公認内定を公認に切り替える作業は取らない」、すなわち公認を見送ることが正式に了承され、決定した。
今回の決定は、夏の参院選を控える国民民主党にとって、候補者擁立における党内調整の難しさを示す事例となった。山尾氏の国政復帰の道は閉ざされ、党は全国の地方組織や議員の意向を踏まえる形で、新たな選挙態勢構築を迫られることとなった。