関東各地で多発していた「仕出し弁当」を巡る詐欺事件で、ついに大きな展開がありました。悪質な営業行為を繰り返していた男が、なんと自身のニュース報道を見て、警察署に自ら出頭したのです。この詐欺容疑で夫婦が逮捕され、事件の全容解明が進んでいます。特に、無職の高本伸浩容疑者（57）とその妻・久美子容疑者（63）の逮捕は、多くの被害者が待ち望んでいた結果です。
「お弁当の件で弁明したい」と自ら警察署を訪れた高本伸浩容疑者と、その妻である久美子容疑者が詐欺の疑いで逮捕されました。この逮捕について、被害に遭ったカートルズ草加・足立店の神谷準店長は、「本当捕まって良かったなって思いますね。被害者が多くて、みなさん捕まるのを待っていたので」と安堵の声を上げています。
フジテレビ「イット!」が独自に取材した高本容疑者の親戚によると、高本容疑者は周囲から多額の借金をしていたことが判明。親戚は「合計690万ぐらい貸したかな。たった1500円か1万5000円ぐらいの詐欺を起こして、バカだなと思ってますけど」と呆れた様子で語っています。
仕出し弁当詐欺容疑で逮捕された高本伸浩容疑者とみられる男
警察によると、高本容疑者は巧みな言葉で仕出し弁当の購入を持ちかけていました。例えば、5月29日には横浜市鶴見区の自動車販売会社を訪れ、「30名限定でお弁当配達のモニターを募集しています。一人5000円で2ヶ月の間お弁当を毎日配達するサービスです」と説明。お試し価格として、1食わずか100円ほどという破格の料金を提示し、この会社から1万円をだまし取った疑いが持たれています。
番組の取材で、同様の詐欺事件は1都3県で少なくとも20件以上の会社や店舗などが被害に遭っていることが明らかになっています。被害は関東の広い範囲に及んでいました。
小田原市内にある中古車販売店「オート・エース」でも、高本容疑者とみられる男が5月20日に姿を見せています。渋谷陽店長は「ちょうどここのカタログのところに三脚を立てて、ビデオカメラみたいなのを設置して（SNS用の）動画を撮っている時に、ちょうど男性の方が訪問販売みたいな形で来られた」と当時の状況を説明。男は「お弁当2ヶ月間毎日お届けできて、5000円で食べられるお弁当なんですけど」と売り込みました。通常価格500円と比較してあまりに安い料金に、店長は「安い！ほんとに？」と驚き、3人分の1万5000円を現金で支払いました。
仕出し弁当のパンフレットを手に営業する高本伸浩容疑者とみられる男
店長が「これ一万5000円払って、バッくれられるってことないよね」と念を押すと、男は「ないです。大丈夫です」と断言。しかし、店長が会社の詳細を尋ねると、「会社ですか？会社は、な、な、ないです。私は会社ない。会社員じゃないんで」と歯切れ悪く回答し、「私はアルバイトです」とごまかしました。不審に思った店長ですが、契約日になっても弁当は届かず、警察に被害届を提出。渋谷店長は今回の逮捕に「捕まって良かったなって感じですかね。これで反省してくれればいいなって。二度とこういうのしてほしくないですよね」とコメントしています。
一方、千葉市の建設会社でも5月7日、高本容疑者とみられる男が同様の手口で接触していました。会社の職員は「高本と名乗ってましたね。本当にセールスをしてるように、飛び込みのセールスマンみたいに話してました」と証言。男はファイルに入れた写真を見せながら、今度は「10日間3000円」という別のプランで仕出し弁当を売り込んできました。職員は「3000円なら良いかなということで現金渡して、注文書と領収書控えと書いて、私に渡して。私が内容を見ようなと確かめてたら、もうその場からすーっと消えていった感じですかね。怪しさは感じましたけど」と、その手際の良さと不審感を語っています。
関東各地で多くの企業や店舗を狙った仕出し弁当詐欺事件。巧妙な手口と破格の料金で契約を装い、現金をだまし取るという悪質な犯行が繰り返されていました。今回の高本容疑者夫婦の逮捕、そして男が自ら出頭したという異例の展開により、事件の全貌解明と被害回復への道が開かれることが期待されます。同様の被害が拡大しないよう、不審な訪問販売には十分な注意が必要です。
