全国初の自動運転サービス、30日から本格運行 秋田・上小阿仁村





新たなナンバーを取得して、発着所の道の駅「かみこあに」に着いた自動運転の電動カート=28日、秋田県上小阿仁村

 自動運転技術を使った電動カートの本格運行が30日から、秋田県上小阿仁村(かみこあにむら)で始まる。過疎や高齢化で中山間地域が抱える交通弱者の問題解決を目指し、国土交通省などが全国で初めて実施するもので、7人乗り電動カートが路面に埋めた電磁誘導線に沿って自動運行する。同村では「高齢化で免許返納する人もいる中で、生活の足の選択肢が増える」(大沢寿・建設課長)と期待を寄せている。

 自動運転サービスは、内閣府の戦略プログラムを受けて国交省が平成29年度から全国18カ所で実証実験を実施。上小阿仁村でも昨年12月から43日間にわたる実験を行い、利用者の7割が高齢者だった。路線整備や運行監視など地元の受け入れ条件が整ったことから、全国のトップを切って上小阿仁村での本格運行が決まった。

 電動カートは時速約12キロで運行。本来の車体は両側がオープンの状態だが、防寒カバーを装備し、暖房も入れる予定だ。ハンドルなど運転装置を備えているが、乗務する監視員は緊急時以外は操作しない。監視員は、同村で廉価な送迎サービスを行っているNPO法人の上小阿仁村移送サービス協会が担当する。

 運行経路は、村役場に近い道の駅「かみこあに」を拠点に、民家が多い小沢田・堂川(往復5キロ、所要時間43分)▽小沢田・福舘(4キロ、同35分)▽小沢田周回(2キロ、同20分)-の3路線。一部区間は一般車が入らない専用区間にする。運賃は1回200円で、定期便は3路線とも午前と午後に各1便だが、合間には利用者の連絡で運行する「デマンド便」も走らせる。

 3路線とも利用者が多い村役場や生涯学習センター、郵便局などを通る。停留所も設けるが、手を挙げたり声を掛けたりして監視員に伝えれば、路線内のどこでも乗降できるという。

 各地にある道の駅では産直販売が人気だが、高齢者には農産物などの商品を運ぶ手段が乏しいことも問題になっている。そのため、今年度内には電動カートに貨物用牽引(けんいん)車を連結して、運賃と同額で運送サービスも始める。

 同村などを含めた地域協議会の事務局を担う国交省能代河川国道事務所では「運行計画や運賃などは、本格運行をしながら地域の意見や実情を踏まえて改善していきたい」としている。



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