6月2日、「週刊女性PRIME」が報じた日本テレビを代表する人気長寿番組2つの“放送終了”に関する観測が、大きな注目を集めています。対象となっているのは、『しゃべくり007』と『ヒルナンデス!』という、それぞれ夜のゴールデン帯と昼の情報バラエティにおいて日本テレビの「顔」とも言える存在です。この終了説の背景には、激化する民放各局の視聴率競争と、日本テレビが進める大胆な編成戦略が見て取れます。
噂の発端と番組の現状
『しゃべくり007』は2008年に放送を開始し、現在は毎週月曜夜9時の看板バラエティ番組です。一方、『ヒルナンデス!』は2011年スタート、ウッチャンナンチャンの南原清隆氏がMCを務め、月曜日から金曜日まで毎日放送されるお昼の主力番組です。どちらも長年にわたり幅広い層から支持を得てきました。「週刊女性PRIME」の報道後、『しゃべくり007』MCのくりぃむしちゅー上田晋也氏は取材に対し、「ごめんなさい。僕は聞いてないですね」と出演者には話が来ていないと回答。さらに「番組を続けるかどうかは僕らが決めることじゃないですしね」と、編成権が制作側にはないことを示唆しています。
日テレの大胆な改編戦略と指摘されるマンネリ化
では、なぜこのような終了説が浮上しているのでしょうか。最大の要因として挙げられるのが、日本テレビの積極的な「攻め」の姿勢による大規模な編成改革です。日テレは近年、『行列のできる相談所』や『ズームイン!!サタデー』といった長寿番組を次々と終了させてきました。そして、2025年3月に行われた改編説明会では、2025年春の改編を「ここ最近に例を見ない大改編」と位置づけ、2024年秋の約2倍に及ぶ大幅な変更を行うことを発表しています。「10年先も輝くスターの力を活かしながら、魅力的なタイムテーブルを目指す」という局側のコメントからも、現状に満足せず、新しい風を積極的に取り入れる方針が明確に打ち出されています。
日本テレビ『ヒルナンデス!』のMCを務める南原清隆氏
2025年春の改編では、『しゃべくり007』と『ヒルナンデス!』はいずれも継続が決定しましたが、両番組に対して「マンネリ化」が指摘される声は根強く存在します。『ヒルナンデス!』では、藤田ニコル氏、川田裕美氏、SHELLY氏といった曜日レギュラーの卒業などで変化を試みていますが、MCである南原氏の存在感が強く、大幅な印象変化には至っていません。『しゃべくり007』についても、最年少レギュラーがチュートリアルの福田充徳氏の49歳であるなど、レギュラー陣の「高齢化」が指摘されることもあります。このような状況が、日テレの大胆な改編の俎上に載る可能性を示唆していると考えられます。
日テレ人気番組『ヒルナンデス!』のレギュラー卒業発表時の様子
激化する視聴率競争が背景に
日本テレビがこれほどまでに攻撃的な編成戦略を推し進める背景には、民放キー局間の熾烈な視聴率競争があります。現在の民放テレビ業界は、大きく勝ち組と負け組に二分されている状況です。2024年の視聴率でゴールデン帯、プライム帯、全日帯の全てでトップを獲得し、「三冠王」を達成したテレビ朝日が最大の勝ち組とされています。日本テレビは、このテレビ朝日の背中を追う立場にあります。一方で、不祥事などが相次ぎ視聴率の低下が著しいフジテレビ、そしてフジテレビほどではないにせよ下落傾向が見られるTBSが苦戦しています。このような「打倒テレビ朝日」を目指す競争環境において、日テレは現状維持ではなく、大胆な番組の見直しや入れ替えを通じて活路を見出そうとしています。『しゃべくり007』や『ヒルナンデス!』といった、良くも悪くも安定したイメージのある長寿番組も、この生き残りをかけた改編の対象となり得るというわけです。
激しい視聴率競争が引き起こすテレビ局の戦略的な動きは、時に長年親しまれてきた番組の終焉を招く可能性もあります。しかし、その一方で、新しい番組が生まれ、視聴者にとって新鮮な選択肢が増える機会にもなり得ると言えるでしょう。今回の終了説は、日本のテレビ業界が迎えている変革期を象徴する出来事の一つとして、今後の動向が注目されます。
参考文献
- [週刊女性PRIME(間接的な参照元として)]
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