日本政府による備蓄米の放出に向けた随意契約の申し込み受け付けが11日、3回目のスタートを切りました。前回の随意契約で米を買い入れた大手59社のうち、「今回も申し込む」と明言した企業は限られていました。小泉農林水産大臣は価格高騰を抑えるため、備蓄米の放出を迅速に進めていますが、その背景にはどのような狙いがあるのでしょうか。
日本政府による備蓄米放出のニュースを伝える画像。随意契約による第三回目の受付が開始されたことを示す。
小泉大臣「流す判断が一番いい」
備蓄米を安定的に市場に流通させるため、政府は追加放出を決定しました。11日午前、第三回目の随意契約申し込み受け付け開始から約1時間後、小泉農林水産大臣は現在の応募状況について言及しました。
小泉大臣は、「現在1時間ぐらいたって応募状況ですけども、約30社から応募があると聞いています。この1時間でこれだけ来るというのは、私からするとやはりニーズがあると」と述べ、出足の反応に一定の手応えを感じている様子を示しました。
さらに、備蓄米放出の目的として、「目詰まりなく切れ目なく提供していく。そういったことをもって、しっかりと価格の高騰を抑えにいくには、いまここで(備蓄米を)流すという判断が一番いいだろうと」と語り、米価高騰への対策として、市場への継続的かつ迅速な供給が最善であるとの考えを強調しました。
小泉農林水産大臣が備蓄米の迅速な放出決定について説明する写真。
第三回随意契約の詳細:売り渡すコメと参加企業
これまでの備蓄米随意契約の経緯を見てみましょう。最初の随意契約は、大手小売向けに5月26日に始まりました。続いて、中小の小売業者やコメ販売店向けに5月30日から開始されました。そして今回、そこからわずか2週間足らずで、第三回目の申し込み受け付けが始まりました。
今回の随意契約には、大手、中小企業に加え、街のコメ店も参加できるようになりました。申し込み量は10トンからとなっています。この素早い対応は市場関係者や消費者の間で注目を集めています。
今回売り渡される備蓄米は、まず2021年産の、いわゆる「古古古米」10万トンです。これに加えて、前回の随意契約で買い手のつかなかった中小向けの2万トンも合わせて放出されます。合計で12万トンが今回の随意契約の対象となります。
小泉大臣からは、将来的に2020年産の「古古古古米」も売り渡す可能性が示唆されています。まずは今回の2021年産古古古米と前回の売れ残りを放出し、その申し込み状況や市場の動向を見てから、2020年産米の放出時期が決定される見通しです。
受け付け開始から1時間で約30社からの申し込みがあったとのことですが、その内訳は大手企業が約10社、中小企業が約10社、そして街のコメ販売店が約10店と、幅広い層から申し込みがあったことが明らかになりました。
備蓄米の随意契約申し込み受付の推移と第三回放出の詳細を示す図解。
消費者がスーパーなどで様々な選択肢の中からどの米を選ぶかによって、備蓄米の放出効果や市場への影響も変わってくる可能性があり、今後の動向が注視されます。
今回の第三回随意契約による備蓄米放出は、米価高騰を抑え、市場への安定供給を図るための政府の迅速な対応を示すものです。大手から中小、そして地域に根差したコメ店まで、幅広い事業者への供給機会を提供することで、より多くの消費者に影響が及ぶことが期待されます。特に、2021年産の古古古米を中心とした放出は、市場の価格バランスにどのような影響を与えるか、今後の流通状況が注目されます。農林水産省としては、この供給を通じて、消費者が手頃な価格で米を入手できる状況を作り出すことを目指しています。