人気YouTuber「スクワッド」解散の軌跡:再生数低迷と挑戦の末に

チャンネル登録者数82.1万人を誇る人気YouTuberグループ「スクワッド」が、今月をもって解散することを発表しました。コント動画「バスケあるある」で一世を風靡した彼らが、なぜ解散という道を選ばざるを得なかったのか。過去6ヶ月間、様々な挑戦を続けてきたスクワッドの軌跡をたどりながら、エンタメジャンルで活動する難しさを考察します。

人気YouTuber「スクワッド」とは?ブレイクから低迷まで

2020年5月にTikTokでの動画投稿を開始したスクワッドは、同年6月にYouTubeチャンネルを開設しました。特に2021年10月頃から投稿を始めたショート動画「バスケあるある」シリーズが大ヒットし、一躍注目を浴びます。2022年8月にはチャンネル登録者数が50万人を突破し、同年末にはBitStarによる「チャンネル総再生数ランキング」で9位にランクインするなど、その勢いは止まりませんでした。

しかし、「バスケあるある」のネタが尽きてきたことを契機に、次第に動画再生数は低迷期に入ります。かつての輝きを取り戻すため、グループは新たな挑戦を開始します。

視聴者との約束:再起をかけた異例の挑戦

再生数低迷を受け、スクワッドは様々な試みを行いました。2024年4月からはチャンネル登録者数100万人突破を目指し、毎月人気投票を実施。下位メンバーがメインチャンネルに出演できなくなるという斬新な企画でしたが、メンバー・はるかさんのパニック障害による活動休止なども影響し、同年10月に企画は終了しました。

その後、2024年12月から2025年5月までの期間、グループは解散をかけた最後の挑戦として、ロング動画での月間再生数500万回突破を目標に掲げ、精力的に活動を続けました。

目標未達、そして解散へ

解散をかけた挑戦の最終月である5月の結果が、6月4日に公開された動画内で発表されました。目標の500万回再生には届かず、結果は353万3263回再生でした。リーダーのこうたさんは、カメラに向かって「我々スクワッドは500万回再生達成しなかったので解散することになります」と述べ、解散を正式に発表しました。他のメンバーも深々と頭を下げ、感謝の言葉を伝えました。

この挑戦期間中の再生数を振り返ると、2024年12月は約279万回、2025年1月は約410万回と健闘したものの、その後2月は約235万回、3月は約195万回、4月は約166万回と苦しい結果が続いていました。最後のチャンスだった5月は、東海オンエア、はじめしゃちょーの畑、エスポワール・トライブなど合計11組の人気YouTuberとのコラボレーションを積極的に行い、再生数は伸びたものの、目標達成には届きませんでした。

人気YouTuberグループ「スクワッド」が解散を発表した動画の様子人気YouTuberグループ「スクワッド」が解散を発表した動画の様子

挑戦の中での誤算:コラボとコントのズレ

今回の挑戦期間中、スクワッドは代表作である「バスケあるある」コントの復活も試みました。しかし、このコントへの回帰が、一部ではマイナスに働いた可能性が指摘されています。様々なYouTuberとのコラボ企画を通じて新規視聴者を獲得しようとしたスクワッドでしたが、コラボ動画をきっかけにチャンネルを訪れた視聴者は、必ずしもコントを見たいわけではなかったようです。

新規視聴者は、コラボ動画で見せた素のメンバーの姿や企画内容に興味を持って訪れています。そのため、コラボ動画の直後にコント動画を投稿するなど、新規視聴者の期待と提供されるコンテンツとの間にズレが生じてしまったと考えられます。この状況を受け、スクワッドは5月17日の動画でコント動画の終了を報告。コメント欄には「コントは取っ付きにくかった」「コント動画になってから観なくなってた」といった声も見られ、エンタメジャンルにおけるコンテンツ戦略の難しさが浮き彫りになりました。

エンタメYouTuberジャンルの厳しさ

YouTubeのエンタメジャンルは、ユニークな発想で唯一無二のコンテンツを作り続ける東海オンエアやはじめしゃちょー、体を張った大型企画で人気のフィッシャーズ、検証企画に強い水溜りボンド、そしてかつてスクワッドも得意としたコント動画で人気を博すあめんぼぷらすなど、強豪ひしめくレッドオーシャンです。自由度が高い反面、自分たちの面白さや強みを最大限に活かせる企画を継続的に生み出し、変化し続ける視聴者のニーズに応え続ける苦しみは計り知れません。

まとめ

長期間にわたり解散回避のためにもがき続けたスクワッドの挑戦は、残念ながら目標達成には至りませんでした。彼らの軌跡は、YouTubeのエンタメジャンルにおいて生き残るためには、単に面白い企画を作るだけでなく、視聴者に刺さるコンテンツを適切なタイミングと順序で提供することの重要性を示唆しています。人気絶頂期から低迷、そして解散へと至ったスクワッドの経験は、変化の速い動画コンテンツの世界で活動するクリエイターたちにとって、貴重な教訓となるでしょう。

Source link