人気商品の高額転売が問題となる中、今月発売された新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の高額転売が抑制されている状況が見られます。これは、任天堂が実施した独自の対策や、潤沢な初期出荷、さらには一部フリマサイトでの出品対応などが影響しており、業界全体で転売ヤーへの対策が功を奏していると言えます。
フリマサイトに見る現在の転売状況
スイッチ2は発売から4日間で世界累計販売台数350万台を突破するなど、好調な売れ行きです。フリマサイトであるメルカリや楽天ラクマでは、商品が手元にない「空出品」の禁止といった対策は取られていますが、本体の出品自体は認められています。しかし、出品されているスイッチ2が高額で取引されるケースは少なく、転売市場の過熱は抑えられている傾向が見られます。発売から1週間後、希望小売価格5万3980円の「マリオカートワールドセット」が6万8千円前後で売れ残っている例が多く、たとえ売れたとしてもサイト手数料や送料を差し引くと、転売による大きな利益は出にくい状況です。
フリマサイトで売れ残っているニンテンドースイッチ2本体
転売対策としての任天堂と販売店の取り組み
任天堂は、これまでの製品発売時には見られなかった独自の転売対策を講じました。公式ストアでの抽選販売では、過去のスイッチソフトのプレー時間50時間以上や、オンライン有料会員への累計1年以上の加入といった厳しい条件を設けています。家電量販店のジョーシンでも、過去2年間で合計15万円以上の購入履歴がある会員にのみ、スイッチ2抽選販売の専用サイトアドレスを通知するといった対策を実施しました。また、スイッチ2には保証書が付属しておらず、初期不良対応には購入時のレシートなどが必要になる点も転売を難しくしています。これは個人情報の流出を恐れる転売ヤーがレシート提供を避ける傾向があるため、「買いにくさ」につながる要因となっています。
発売当日にメルカリと楽天ラクマに出品されたニンテンドースイッチ2の価格表示
プラットフォーム側の強硬な出品禁止策
フリマサイトやオークションサイトの中には、さらに強硬な措置を取っているところもあります。LINEヤフーが運営する「ヤフーオークション」と「ヤフーフリマ」では、ニンテンドースイッチ2本体の出品を当面、全面的に禁止する対応をとっています。同社によると、スイッチ2とみられる商品の出品時にはポップアップでアラートが表示され、もし出品された場合でも、人工知能(AI)などが検知し、最終的には人の目で確認した上で出品が削除される仕組みです。これは、悪質な転売行為をプラットフォーム側から積極的に排除しようとする姿勢の表れです。
結論
これらの任天堂、販売店、そして各プラットフォームによる多角的な転売対策と、潤沢な初期出荷台数が相まって、ニンテンドースイッチ2に関しては、これまでの人気商品で問題となっていたような異常な高額転売が現状では抑えられていると言えます。業界全体での連携した取り組みが、消費者にとってより公平な購入機会を提供することにつながっています。