イスラエルとイラン、報復攻撃応酬 核施設や石油施設標的か – 死傷者多数

イスラエルとイランは14日から15日早朝にかけ、軍事的な攻撃を応酬しました。イスラエル国防軍(IDF)は15日未明、イランの首都テヘランを攻撃し、国防省や核開発関連施設を標的としたと発表。一方、イランはこれに先立ち、「ドローンによる広範な攻撃」を実施したと発表しました。双方の攻撃により、少なくとも多数の死傷者が出ています。

攻撃の詳細と被害状況

イスラエル国防軍は、テヘランにあるイランの核開発計画に関連するインフラを標的とした攻撃を重ねたと表明しました。標的には国防省のほか、国防イノベーション研究機関、イランが核兵器入手を推進するための施設、核関連記録を隠した場所などが含まれるとしています。

これに対し、イランは夜通しイスラエルを攻撃しました。イラン国営メディアは、ミサイル100発を発射し、主にテルアヴィヴとハイファが標的だと説明しました。イスラエルの救急活動組織マゲン・ダビド・アドム(MDA)によると、中部ハイファ近郊の住宅地へのミサイル着弾で少なくとも5人が死亡。中部テルアヴィヴへの攻撃では60歳女性が死亡しました。テルアヴィヴではさらに20人が負傷、イスラエル中部でも24人が負傷しています。BBCはこうした被害報告をまだ独自に検証できていません。

双方の反応と関連動向

イラン軍の一部で有力組織の革命防衛隊(IRGC)は、攻撃したイスラエルの標的は「戦闘機燃料の製造やエネルギー供給の中枢」だったと説明しました。イスラエルからの攻撃が続く場合、イランの攻撃も「激化する」と警告しました。IRGCはまた、イスラエルに攻撃されたイランの地域で、巡航ミサイルやドローンなど数十機を追跡・破壊したと主張しています。

イランのマスピード・ペゼシュキアン大統領はパキスタン首相との電話会談で、イスラエルが攻撃を続ければ「さらに厳しく強力に」反応すると発言しました。

イランの核開発をめぐり、15日にオマーンで予定されていたイランとアメリカの協議は中止されました。アメリカ政府幹部がBBCに明らかにしました。

国際原子力機関(IAEA)は15日、ソーシャルメディア上で、イラン中部イスファハンにある核関連施設で「4棟の重要建屋」が損傷を受けたと発表しました。ウラン転換施設などが含まれます。IAEAはイラン原子力規制局からの報告として、イスファハンおよびナタンツの施設周辺で放射線量の変化は確認されていないと報告しています。

石油関連施設への影響

イランの首都テヘラン北西部のシャーラン石油貯蔵施設では15日未明、大規模な火災が発生しました。現地住民が撮影し、BBCヴェリファイが確認した映像には、シモン・ボリヴァル通りから撮影された激しい炎が映っています。

イスラエルの攻撃後、炎上するテヘラン北西部のシャーラン石油貯蔵施設イスラエルの攻撃後、炎上するテヘラン北西部のシャーラン石油貯蔵施設

別の映像では、同じ通りから撮影された燃え上がる石油タンクローリーの様子が確認されており、撮影者が時間と場所を明言しています。イランのメフル通信も現地からの映像を報じており、同施設が何らかの攻撃を受けた可能性があると伝えています。イラン石油省は「状況は制御できている」と発表していますが、複数のイラン・メディアは住民に対し、現場周辺に近づかないよう呼びかけています。

一方、14日深夜からイランへ発射されたとされるミサイルが着弾したため、イスラエル北部ハイファの石油精製所付近でも火災が発生しました。SNSで共有された映像には、遠方から撮影された火災の様子が映っており、BBCヴェリファイは周辺の特徴的な要素と照合することで、撮影地点と対象施設を特定しました。

結論

イスラエルとイランの間では、核関連施設やエネルギー供給網を含むインフラを標的とした直接的な攻撃の応酬が続いており、多数の死傷者が出ています。この対立の激化は、核協議の中止など国際的な外交努力にも影響を与えており、地域の緊張は一層高まっています。

参考資料

  • BBC News