近年、秋篠宮家の佳子さまが公務で「ドット柄のワンピース」を着用される機会が目立っています。この選択は単なるお気に入りなのでしょうか、それとも皇族が水玉模様を選ぶことには、ある種の「合理的理由」が存在するのでしょうか。著名なファッションデザイナー、ドン小西氏の解説を交えながら、佳子さまのファッションセンスと皇室の装いの深層に迫ります。
佳子さまの公務に頻繁に登場するドット柄
この数年、佳子さま(30)が夏場の公務で着用されるワンピースには、繰り返し水玉模様、すなわちドット柄が登場しています。例えば、6月のブラジルご訪問時には白地に黒の手書き風ドット柄を、8月の大阪・関西万博では白地に黒のドット柄を、そして9月の世界陸上では白地に青ドットのワンピースを「ヘビロテ」されている姿が報じられました。これらの装いはSNS上でも「素敵」「似合っている」と大変好評を博しており、佳子さまのファッションは常に国民の注目を集めています。では、なぜ佳子さまのドット柄はこれほどまでに高く評価されるのでしょうか。
大阪・関西万博でブラジル館を視察する佳子さま。公務にふさわしい上品なドット柄ワンピース姿が印象的です。
ドン小西氏が語る「柄が映し出す人間性」
ファッションデザイナーのドン小西氏は、人のファッションや身のこなしには、その人の生い立ち、人間性、思考、そして10年、20年先の未来までが映し出されると語ります。佳子さまの愛用されるドット柄が何を物語っているのか、その解釈は興味深いものです。
柄にはその時代の流行や方向性が色濃く反映されるものですが、その中で最も単純な柄としてストライプ、ボーダー、そして水玉が挙げられます。これらは直線と円という最も基本的な要素で構成されているからです。しかし、ストライプやボーダーは、使い方によっては囚人服のように見えたり、あるいは過度にスポーティーな印象を与えたりする危険性をはらんでいます。一方で水玉は、無機質でありながらも誰にでも扱いやすい普遍性を持っています。ドン小西氏は「水玉といえばレトロというイメージは後付けの情報であり、水玉は円や直線が描ける時代から存在する“原点”ともいえる柄で、特定の時代性を持たない」と指摘します。この「時代性がない」という点が、皇室の装いにおいて重要な意味を持つと考えられます。
皇族にとって「ドット柄」が持つ多面的な利点
ドット柄は、その組み合わせによって多様な表情を見せます。白地に黒ドットは清潔感を演出し、反転して黒地に白ドットであればフォーマルにもドレッシーにも対応可能です。白地に紺のドットは爽やかな印象を与え、赤地に黄色の水玉はモードな雰囲気を醸し出し、大きなドットはポップで若々しい魅力を引き出します。
このように、ドット柄はエレガントな装いからリゾートスタイルまで、あらゆるドレスコードに無理なく溶け込むことができます。見る人にとって感情移入しやすく、親しみやすい印象を与える一方で、バッグや帽子などの小物とのコーディネートも容易であるという実用性も持ち合わせています。また、視覚的に華やかで目を引く利点もあり、公務における視認性の高さも皇族にとっては重要な要素でしょう。ビジネスシーンにおける定番アイテムである小粒ドットのネクタイが示すように、ドット柄は普遍的でありながらも、品格と多様性を兼ね備えた「武器」となり得るのです。佳子さまのドット柄ワンピースの選択は、単なる流行や好みを超え、皇族としての立場にふさわしい、計算された「合理的理由」に基づいていると言えるでしょう。