長崎県川棚町に県と佐世保市が計画している石木ダム建設を巡り、反対する住民らが国の事業認定取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は29日、請求を棄却した一審長崎地裁判決を支持し、住民側控訴を棄却した。
昨年7月の一審判決は、移転対象の住民に生活再建措置が準備されており、土地収用法の要件を満たすと判断。ダムの必要性や公益性を認めていた。
石木ダムは、需要増加が予測される佐世保市の水不足解消や川棚町の治水対策を目標に計画され、昭和50年に建設が決まった。ただ住民の一部が立ち退きに応じず、強制収用に向けた手続きの一環として、国が平成25年に事業認定した。
原告側は、佐世保市の人口や水需要は減少傾向だとし「新たな水源が必要になるとの予測は誤りだ」と主張していた。
今月、水没予定地に住む13世帯の明け渡し期限が過ぎ、県は行政代執行で土地や建物の強制収用ができるようになった。