10月に入り、日本の政界は目まぐるしい変化を遂げた。自民党の新総裁に高市早苗前経済安全保障担当相が選出されたことを皮切りに、公明党が自民党との連立を解消。この空白に日本維新の会が台頭し、新たな政権の枠組みが形成されつつある。
高市総裁誕生と自公連立解消の背景
自民党は昨年10月の衆議院選挙と今年7月の参議院選挙で苦戦し、与党としていずれも過半数を確保できなかった。当時の石破茂首相の退陣表明後、高市新総裁が誕生したが、与党体制を維持するためには新たなパートナーが必要な状況にあった。高市氏のタカ派路線は公明党の反発を招き、10月10日に公明党は自民党との連立解消を決定。これにより、長らく続いた自公政権は幕を閉じた。
維新の会との連携加速
公明党との連立解消を受け、自民党は日本維新の会との連携に動き出した。10月15日には、維新の吉村洋文代表(大阪府知事)が急遽上京し、自民党の高市総裁や鈴木俊一幹事長と会談。維新側は、副首都構想や統治機構改革など12項目にわたる政策要求を提示した。この中には、自公連立解消の一因となった「企業団体献金の禁止」も含まれており、政策面での調整が焦点となった。翌日以降も政策協議が重ねられ、臨時国会での高市氏の首班指名に向けて、自民党と維新の連立へのプロセスが着々と進められている。
国民民主党を巡る「争奪戦」の舞台裏
高市総裁誕生直後から、政界では2つの「争奪戦」が繰り広げられた。一つは、高市氏が10月5日に国民民主党と極秘接触を図り、公明党の反発を招いたこと。もう一つは、国民民主党の玉木雄一郎代表を巡る動きである。国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、高市氏の後見人とされる自民党の麻生太郎副総裁と接触し、自民党との連携策を探っていた。一方、立憲民主党の安住淳幹事長も他の野党に首班指名での連携を呼びかけ、「野田佳彦代表にこだわらない」とし、8日には国民民主党の榛葉幹事長に「玉木代表も有力な候補」と伝えた。
衆議院における議席数を見ると、立憲民主党148議席と国民民主党27議席を合わせれば175議席、これに維新の35議席を加えると210議席となり、過半数まで23議席となる。さらに連立を離脱した公明党を野党連合に加えると、234議席でかろうじて過半数を制する計算だった。しかし、国民民主党が自民党と組む場合、自民党223議席に維新の会を加えると258議席で過半数となる。玉木氏はX(旧ツイッター)で「総理大臣になる覚悟はある」と投稿したが、最終的に大きな政界の潮流にはならなかった。
高市早苗自民党総裁が国民民主党の玉木雄一郎代表と握手、新政権樹立に向けた連携模索
新たな政界構図の形成へ
一連の動きは、日本の政界が新たな局面を迎えていることを明確に示している。自民党と公明党の長年の連立が解消され、自民党が日本維新の会との連携を模索することで、与党の基盤が大きく変化。これにより、国会での議案審議や政策決定の過程にも新たな展開が予想される。今後の臨時国会での首班指名、そして新たな連立政権の確立は、日本の政治情勢に深く影響を与えるだろう。
参考文献
- Yahoo!ニュース (2023年10月19日). 「秋の大政局」で自民党会派に入ったNHK党の参院議員と、それを仲立ちしたと噂される自民党議員とは?.
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ba666d5396acf0789366973a0fd1b539174c30d