「真面目に仕事をしているのに、なぜか上司に評価されない…」と感じたことはありませんか?自分より能力が低いと思う同僚がなぜか評価されている光景に、もどかしさを感じた経験は、多くのビジネスパーソンにあるはずです。本記事では、そんな「なぜか評価される人」が実践している、周囲に実力を適切に認識させるための「戦略」に迫ります。特に、一見「無意味」に見えがちな職場の慣習、例えば「新人芸」に全力投球する人がなぜ出世していくのか、その隠された理由を解説します。この分析は、話題の書籍『雑用は上司の隣でやりなさい』で提唱されている「見せ方の技術」に基づいています。
出世する人が「新人芸」に本気を出す真意
新人芸と聞いて、古臭い、無駄な慣習だと感じる方もいるかもしれません。しかし、驚くことに、私の勤めるメガバンクの一部支店では今なお息づいています。この一見くだらないイベントに、なぜ出世を目指す人々は真剣に取り組むのでしょうか。そこには、単なる余興以上の、キャリア形成に繋がる重要な要素が隠されています。
職場で真剣に話し合い、協力するビジネスパーソンたち。評価とチームワークの重要性を示す。
新人芸がキャリアアップに繋がる3つの理由
新人芸には、表面的な面白さだけでなく、実は複数の戦略的な目的があります。
同期間の結束力を高める
新人芸の準備は、一人では完遂できません。同期と協力し、役割分担し、共に困難を乗り越える過程で、強固な絆が生まれます。この連帯感は、その後のキャリアで同期が強力なサポートとなり得る基盤を築きます。実際、私の10年以上のキャリアの中でも、新人時代の苦楽を共にした同期との繋がりは非常に重要です。
先輩・上司への効果的なアピール機会
新人芸は、自分たちの好きなことだけをすれば良い場ではありません。見ているのは、長年の経験を持つ先輩や上司です。彼らがどのようなネタやパフォーマンスを好むのかを分析し、どうすれば場の空気を盛り上げられるかを考えるプロセスは、将来的に年配の顧客との接待など、多様なビジネスシーンで活きる「相手に合わせる力」や「マーケティング思考」を養います。
「姿勢」こそが評価の対象
最も重要な点は、新人芸の評価基準は「面白さ」そのものではないということです。先輩や上司が見ているのは、そのイベントへの取り組み方、つまり「姿勢」です。過去の新人芸と比較し、いかに真剣に、一生懸命に取り組んでいるか。そのひたむきな姿は、職場で自然と目に留まり、「あの時の新人か」と記憶に残ります。一生懸命な新人は可愛がられやすく、仕事で困った時に助けを求める際にも、話を聞いてもらいやすくなります。文句を言う先輩も少ないでしょう。この最初の「認知」を獲得することが、その後の職場での立ち位置を有利にするのです。
「全力を尽くす姿勢」が将来の評価を左右する
新人芸のような一見些細なイベントへの全力投球は、「あのパフォーマンスをしていた子」「何事にも真剣に取り組む新人」という初期ブランディングに繋がります。これは、その後の業務において先輩から声をかけられやすくなったり、困難な状況でサポートを得やすくなったりする「助けてもらいやすい環境」を作り出す上で非常に効果的です。ただし、この「イベントへの全力投球」の効果には賞味期限があることに注意が必要です。2年目、3年目となっても社内イベントばかりに注力していると、「ただのお祭り好きな人」と見なされ、本質的な業務能力の評価には繋がりにくくなります。
新人芸という文化自体には賛否両論あるかと思います。しかし、職場で「与えられた業務に真剣に、全力を尽くしている」という自らの「姿勢」を周囲に見てもらう絶好の機会という意味では、取り組む意義は大いにあると筆者は考えます。これは、キャリアを通じてあらゆる場面で活かせる、評価されるための重要な「見せ方の技術」なのです。
本記事は、書籍『雑用は上司の隣でやりなさい』の一部に基づき抜粋・編集・加筆しています。
出典:Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/6ebe3a0d69c74f70f2d51d1eec9f4dad4d18bcc1)
参考書籍:『雑用は上司の隣でやりなさい』(たこす 著)