歌舞伎町ネズミ問題の現状:新宿区の対策は効果をもたらしたか

東京・新宿区の歓楽街、歌舞伎町で夜の賑わいが戻りつつある中、住民や事業者を悩ませるネズミ問題が再び注目を集めています。かつて天井からネズミが落下し、店内に悲鳴が響き渡ったという筆者の実体験からも、その深刻さが伺えます。2023年11月には、新宿区が約1229万円の補正予算を投じて本格的なネズミ対策に乗り出しましたが、約2年が経過した現在、その効果はどうなっているのでしょうか。「日本ニュース24時間」は、この歌舞伎町の衛生問題の現状を探るべく、関係者に取材を行いました。

繁華街を脅かすネズミの現実:筆者の体験談

筆者が体験したのは、歌舞伎町にあるこじんまりとしたバーでの出来事でした。和やかな雰囲気の中、突如として天井から丸々と太ったネズミがカウンターに落下。「キャー!」「うおっ!」という悲鳴が上がる中、侵入者は忍者のような素早さで姿を消しました。古くからのビルに入居する店舗であるとはいえ、このような形でネズミに遭遇するとは、まさに心底驚く体験でした。この一件は、歌舞伎町の裏側に潜む衛生問題の一端を如実に示しています。

歌舞伎町の繁華街を駆け回るネズミ。効果的な駆除と予防策が求められる。歌舞伎町の繁華街を駆け回るネズミ。効果的な駆除と予防策が求められる。

新宿区の対策始動:1229万円の予算とその背景

新型コロナウイルスの収束と共に街に活気が戻り始めた2023年11月、歌舞伎町ではネズミに関する苦情や相談が急増しました。これを受け、新宿区は約1229万円という大規模な補正予算を組み、抜本的なネズミ対策へと踏み切りました。それから約2年が経過した現在、歌舞伎町のネズミの現状を把握するため、まずは新宿区役所ごみ減量リサイクル課まち美化係の担当者から話を聞きました。

ネズミ急増の要因:コロナ禍とずさんなゴミ出し

まち美化係の担当者は、歌舞伎町でネズミが増加した主な理由として、以下の二点を挙げました。一つは、コロナ禍で人手が減った結果、清掃が行き届かなくなり、ネズミが繁殖しやすい環境が作られたこと。もう一つは、一部の事業者がゴミ出しルールを守らず、ずさんな方法でゴミを排出していたため、それがネズミの格好の餌場となり、生息数を増やしたと考えられています。特に、ゴミ集積所に大量のネズミが群がる様子を捉えたユーチューバーの動画が拡散されたことで、「歌舞伎町のネズミは深刻な状況にある」という認識が一気に広まりました。

一般的に、ネズミは飲食店から出る廃棄食材や残飯を餌とするため、コロナ禍で休業や時短営業が増えれば、餌が減って弱ったり、新たな場所へ移動したりする傾向があります。しかし、歌舞伎町の場合は特殊でした。膨大な数の飲食店が密集しており、コロナ禍においても営業を続ける店舗が少なくなかったため、ネズミは餌に困ることなく繁殖を続け、その数を増やしていったと推察されています。

歌舞伎町のゴミ集積場、適切な管理がネズミ対策の鍵となる。歌舞伎町のゴミ集積場、適切な管理がネズミ対策の鍵となる。

成果と課題:住民が実感する変化と今後の展望

まち美化係が講じた具体的なネズミ対策は多岐にわたります。歌舞伎町内の約200カ所に毒エサを設置し、ネズミの個体数削減を目指しました。同時に、ゴミ箱を蓋つきのタイプに変更するよう促し、ゴミ出しルールの徹底を事業者に強く求めました。担当者は、ネズミを完全に根絶することは現実的ではないとの認識を示しつつ、「歌舞伎町の人たちが安心して過ごせるような状態」を目標に対策を進めたと説明しています。

これらの対策の結果、ポジティブな変化が報告されています。ビルの管理者などからは「ネズミが目に見えて減った」という声が届いており、まち美化係の担当者自身も「街から獣の臭いが減った」と実感しているといいます。歌舞伎町のネズミ問題は、一時的な措置だけでなく、地域全体での継続的な意識改革と協力が不可欠です。新宿区の取り組みは一定の成果を上げていますが、清潔で安全な街づくりに向けた努力は今後も続いていくでしょう。

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