イラン国営テレビ空爆とG7への影響:トランプ大統領、中東情勢を理由に異例の途中帰国

16日夜、イランの国営テレビ局がイスラエル軍の空爆を受けた。生放送中に発生した攻撃の衝撃的な瞬間は映像に捉えられ、女性キャスターが慌てて避難する様子が映し出されていた。この緊迫した中東情勢は、カナダで開催されていたG7サミットにも影響を及ぼし、アメリカのトランプ大統領が会合を途中で切り上げ帰国するという異例の事態を招いた。

生放送中のイラン国営テレビにイスラエル軍が空爆

イランと交戦状態にあるイスラエル軍は16日夜、イランの首都テヘランにある国営テレビ局を空爆した。テレビ局の生放送中に突如、爆音と共に背景のモニターが消え、女性キャスターは混乱の中で避難を強いられた。部屋には煙が充満し、スタッフと思われる男性の「アラー・アクバル!(神は偉大なり)」という叫び声が響いた。
テレビ局の外では、攻撃を受けて避難した直後とみられる記者がリポートを続けていたが、その手には血が付着していた。炎が上がる建物からは、まだ明るい空に向かって黒煙が立ち上るのが確認できた。攻撃を受けた際に1階にいたという記者は、「同僚が何人も死亡し、負傷者も多数出ている」と現場の状況を伝え、少なくとも2人の従業員が死亡したことが明らかになった。現場近くにいた中国人記者も緊張感を露わにした。
中国人記者:「煙の方向を見ると、まだ爆発音が続いています。現在オフィス内にいますが、防弾チョッキやヘルメットなど、完全な防護装備を着用しています。」
イスラエル軍の空爆を受け、黒煙が立ち上るイラン国営テレビ局の建物外観イスラエル軍の空爆を受け、黒煙が立ち上るイラン国営テレビ局の建物外観イスラエル軍によるイラン国営テレビへの攻撃後、避難直後にリポートする記者の、血が付着した手イスラエル軍によるイラン国営テレビへの攻撃後、避難直後にリポートする記者の、血が付着した手

G7サミットへの影響:トランプ大統領、中東情勢を理由に異例の途中帰国

イスラエルとイランの軍事衝突が5日目を迎える中、その影響はカナダで開催されていたG7サミットにも及んでいた。各国首脳との集合写真を撮影する重要な場面で、アメリカのトランプ大統領が突然、「素晴らしい指導者たちと夕食を共にした後、飛行機で早く戻らなければならない」と述べ、中東情勢への対応を理由にサミットを途中で切り上げ帰国することを表明したのだ。
隣では、G7議長国であるカナダのカーニー首相が、記者とのやり取りを注意深く見守っていた。17日には、ウクライナのゼレンスキー大統領らとの会合や記者会見が予定されていたトランプ大統領にとって、G7サミットを途中で切り上げ帰国することは極めて異例の事態であった。

石破首相とトランプ大統領会談:関税交渉は合意に至らず

一方、G7サミットの場で日本の石破首相は、トランプ大統領と相互関税などを巡り、約30分間にわたり会談を行った。公開された写真には、トランプ大統領の隣で石破首相も笑顔を見せる様子が捉えられていた。しかし、トップ会談においても関税交渉については合意に至らなかった。
石破首相は会談後、「今なお双方の認識が一致していない点が残っているので、パッケージ全体としての合意には至っていない」と述べた。担当閣僚の間で引き続き協議を行うことで一致したものの、今後の交渉の行方は依然として不透明なままだ。

(「イット!」 6月17日放送より)


出典: FNNプライムオンライン