イギリス、性的搾取「グルーミングギャング」根絶へ厳罰化、被害者数千人に謝罪

【AFP＝時事】英政府は16日、数十年にわたり多数の少女や若い女性らをターゲットに性加害・搾取を繰り返してきた犯罪グループ、いわゆる「グルーミングギャング」の「悪弊を根絶」するため、新たな厳しい法規制を導入すると発表し、数千人に及ぶ被害者に対し公式に謝罪した。この重要な発表は、ルイーズ・ケイシー議員が長年英国各地の町や都市に影響を与えてきたこのスキャンダルについてまとめた、痛烈な内容の報告書が公表されたのと時を同じくして行われた。

新法導入と政府の謝罪の背景

イベット・クーパー英内相は同日、国会で、現在当局が全国規模でグルーミングギャングの摘発を進めている状況に言及し、成人が16歳未満の子どもと性行為を行った場合、今後は最も重い刑罰が適用されるレイプ罪で訴追されることになると明確に述べた。これは、被害者の年齢に関わらず、未成年者との性行為を一切許容しないという強いメッセージとなっている。

英議会で、グルーミングギャングに関する報告書に触れ、対策について発言するイベット・クーパー内相

報告書の指摘と過去の制度的失敗

ルイーズ・ケイシー議員の報告書は、過去数十年にわたるグルーミングギャング事件において、英国の制度がいかに被害者を見捨ててきたか、そして性的虐待の被害に遭った未成年者がしばしば非難され、適切な保護や支援を受けられなかった点を厳しく指摘している。特に問題視されたのは、英国の性交同意年齢が16歳であるにも関わらず、13歳から15歳の被害少女が加害者との関係を「恋愛関係にあった」、または「性行為に同意した」と見なされ、グルーミング事件の捜査が打ち切られたり、事件自体が軽視されたりするケースが「あまりにも多過ぎる」という実態だった。これは、13歳から15歳の子どもの性被害に関する法律の解釈に「より多くの余地が残されていた」、いわゆる「グレーゾーン」が原因であると報告書は結論付けている。