石破首相、参院選情勢調査で「解散総選挙」に踏み切るか? 意図的リークの波紋

進次郎農相による「コメ値下げ」を巡る連日の動きで、自民党への逆風が和らいだとの見方がある中、週刊ポストは自民党が実施した参院選の情勢調査を入手しました。この調査は、自民党が参議院選挙で勝利する予測を示しており、その結果が石破茂首相の解散総選挙への判断に影響を与えているとされています。

石破茂首相。参院選情勢調査を受け、解散総選挙の決断が注目される石破茂首相。参院選情勢調査を受け、解散総選挙の決断が注目される

入手した参院選情勢調査の詳細

週刊ポストが入手した「参議院選挙の情勢調査の概要」と題された報告書によると、自民党は49議席、公明党は12議席を獲得し、与党合計で61議席を予測しています。これは現有議席からは減少しますが、非改選議席(自公計75)と合わせると136議席となり、過半数を12議席上回る結果です。この調査報告書は与野党やメディアにも流出し、永田町で広く広がっています。これほど詳細な自民党の選挙情勢調査データが公になった例は少ないでしょう。

自民党が実施した参院選情勢調査における、1人区の予測結果を示す表自民党が実施した参院選情勢調査における、1人区の予測結果を示す表

調査結果は「意図的なリーク」か? 政治ジャーナリストの見解

選挙情勢分析に定評のある政治ジャーナリスト、野上忠興氏は、これほど詳細な自民党の内部調査が流出したのは異例であり、「意図的なリーク」の可能性が高いと見ています。調査が行われた5月中旬は、まだ進次郎農相が就任する前でコメ価格の下落に対する国民の不満が高く、同時期に行われた毎日新聞、共同通信、時事通信、FNN産経新聞の世論調査ではいずれも内閣支持率が低下していました。野上氏は、このタイミングでの自民党調査の楽観的な内容には違和感があり、参院選前に「石破おろし」が始まる危機感があった官邸や党執行部サイドが、党内の批判をかわすために政治的意図をもって「参院選は大丈夫」という調査を流出させた可能性があると指摘しています。

消費税減税論争と党内動向

確かに、自民党調査が行われた5月中旬は「石破では選挙に勝てない」(西田昌司参院議員)との声が上がり、「石破おろし」の危機が表面化していた時期でした。野党各党がこぞって「消費税減税」を参院選公約に掲げ、国民の間に減税を求める声が高まると、公明党まで消費税減税論に転換。自民党でも改選組の参院議員たちが、「食料品の消費税率を2年程度、ゼロ%にする」ことを柱とした意見書を森山幹事長に提出し、参院選の公約に盛り込むように石破首相を突き上げました。これに対し、党執行部は小野寺五典政調会長が「私どもは財政規律を守りながら、経済の後押しをしていく」と火消しに追われる状況でした。

この自民党情勢調査の「与党勝利」予測が、石破首相が解散総選挙に踏み切る後押しとなるのか、あるいは調査流出の意図を含めた政局の駆け引きの中で、消費税減税論争などの党内対立がどう影響するのか、今後の展開が注目されます。

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