映画『処刑人』:カルト的人気の秘密と待望の続編『処刑人3』への期待

日常の閉塞感を打ち破る爽快感は、映画が持つ大きな力の一つです。特に巧みな物語構成と大胆な演出が光る作品は、観る者の心を強く揺さぶり、観賞後に圧倒的な満足感を与えてくれます。今回は、こうした体験をもたらす海外映画の中から、特に日本の映画ファンにカルト的な人気を誇る『処刑人』に焦点を当て、その魅力と公開から四半世紀を経てなお続く影響力、そして待望の新作について探ります。

『処刑人』作品概要と特異な背景

1999年に公開されたトロイ・ダフィー監督・脚本による『処刑人』(原題:The Boondock Saints)は、上映時間110分のアクション映画です。主演はショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダス、共演にウィレム・デフォーを迎えています。物語は、アイルランド系アメリカ人の双子の兄弟、コナーとマーフィー・マクマナスが、神からの啓示を受けたと信じ、「法で裁けない悪人」を独自の正義で「処刑」していく姿を描きます。特にイタリアンマフィアのドンであるパパ・ジョー率いる組織の壊滅を目指す過程が中心となります。

本作の公開時には特異な状況がありました。アメリカでの公開直前に発生したコロンバイン高校銃乱射事件の影響を受け、暴力描写が問題視され、わずか1週間の限定公開に追い込まれたのです。しかし、その後ビデオ販売では約5000万ドルの売上を記録するなど、口コミで徐々に人気が拡大しました。日本では劇場公開され、単館系ながら興行収入1億円を突破。熱狂的なファンを生み出し、カルト映画としての地位を確立しました。2009年には続編『処刑人II』も公開されています。

マクマナス兄弟の魅力と豪華キャスト

本作の最大の魅力は、やはり主人公であるマクマナス兄弟の圧倒的な存在感と、彼らが遂行するスタイリッシュかつ容赦ない「処刑」劇にあります。神の啓示という大義名分のもと、悪に対して鉄槌を下していく彼らの姿は、観る者に一種のカタルシスを与えます。

ガンアクションを中心としたスリリングな活劇シーンは本作の核であり、その中でもショーン・パトリック・フラナリー演じるコナーと、ノーマン・リーダス演じるマーフィーの双子の連携プレイは特に見どころです。端正なルックスを持つ二人の、時にはクールに、時には激しく立ち振る舞う様は多くのファンを魅了しました。

クールな表情を見せる映画『処刑人』主演のショーン・パトリック・フラナリークールな表情を見せる映画『処刑人』主演のショーン・パトリック・フラナリー

さらに、怪優ウィレム・デフォーが演じるFBI捜査官ポール・スメッカーの存在も忘れてはなりません。彼は事件を捜査する中で、マクマナス兄弟の行動原理にある種の共感を抱くようになり、終盤にはまさかの形で彼らを支援します。スメッカー捜査官のユニークで深みのあるキャラクターは、物語に彩りを与えています。

記憶に残るアクションシーンと驚きの展開

『処刑人』には、一度見たら忘れられない、印象的なアクションシーンが数多く盛り込まれています。特にマクマナス兄弟がマフィアのアジトに乗り込むシーンは圧巻です。天井から逆さ吊りでゆっくりと降下し、回転しながら銃撃する場面は、その独創的な演出から映画史に残る名シーンとして語り継がれています。

また、クライマックスでは、パパ・ジョーが雇った伝説の殺し屋イル・ドゥーチ(イタリア語で「指導者」の意)によって兄弟が絶体絶命の窮地に追い込まれます。しかし、そこで兄弟が祈りを唱えると、それを聞いたイル・ドゥーチに明らかな動揺が見られます。そして明かされる、イル・ドゥーチの驚くべき正体。彼はなんと、マクマナス兄弟の生き別れた父親だったのです。

このイル・ドゥーチ登場からの展開は、観る者の予測を裏切るジェットコースターのような面白さがあります。パパ・ジョーが兄弟の死を確信し、裁判に出廷したところに、父と共に現れた兄弟によって「処刑」が遂行される。ピンチからの予期せぬ共闘、そして痛快な逆転劇という緩急自在な演出が、本作を唯一無二のものとしています。

四半世紀を経て:待望の『処刑人3』製作中

公開から25年が経過した現在も、『処刑人』は根強い人気を誇り、新たなファンを獲得し続けています。そして最近、マクマナス兄弟の物語に再びスポットライトが当たるニュースが飛び込んできました。なんと、25年ぶりとなる新作『処刑人3』が目下製作中だというのです。

前作から長い年月が経ち、マクマナス兄弟がどのように歳を重ね、どのような姿でスクリーンに戻ってくるのか。そして、現代社会の「悪」に対して、彼らがどのような裁きを下すのか。再びショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスが演じるという情報もあり、往年のファンからは期待の声が高まっています。彼らならではの個性的なアクション演出が、新作でどのように進化するのか、続報が待たれます。

まとめ

映画『処刑人』は、その過激な描写ゆえに一度は日の目を見ることが難しかったものの、観客の支持を得てカルト映画としての地位を不動のものとしました。マクマナス兄弟のカリスマ性、魅力的な共演者、そして記憶に残るアクションと予測不能な展開が、四半世紀にわたり多くの映画ファンを惹きつけ続けています。そして、待望の新作『処刑人3』の製作決定は、この伝説的な物語がまだ終わらないことを示唆しています。今後の展開から目が離せません。

参考資料

https://news.yahoo.co.jp/articles/4377c3f7792b154b664ddb9e37768ef39b2b30a3