日本郵便で運転手への点呼が適切に行われていなかった問題で、集配拠点の約70局に配置された「運行管理者」200人超について、国土交通省は貨物自動車運送事業法に基づき、資格返納を命じる方針を固めた。点呼の未実施や記録改ざんなどに関与した疑いがあると判断した。
運行管理者はトラック、バス、タクシーなどの営業所ごとに一定数の配置が義務付けられた国家資格。運転者への指導や乗務シフトの作成などのほか、点呼を通じて運転者の疲労・健康状態を把握し、運行の安全を確保する役割を担う。
国交省は「聴聞」手続きを経て、一般貨物自動車運送事業の許可取り消しと併せて処分を行う方針。返納命令後は5年間、資格を再取得できない。
日本郵便はトラックなど2500台を拠点330局で運用し、大口顧客の集荷や小規模局への運送に使ってきたが、2割の局で運行管理者に問題があったと認定された形だ。同社関係者によると、点呼の不備は「郵政民営化」で同法適用を受けた2007年10月から続いていたとみられる。
取り消し処分受け入れ役員11人の報酬減額
日本郵便は17日、トラックなど2500台による貨物運送事業の許可を取り消す国土交通省の行政処分案を受け入れると正式に表明した。国交省の処分が事実上確定し、同社は千田哲也社長の月額報酬を3か月間40%減額するなどの社内処分を発表した。
経営責任として千田氏ら役員11人の報酬減額のほか、安全対策の最高責任者「安全統括管理者」で、郵便・物流業務を担当する常務執行役員を26日付で退任させる。不適切な点呼のあった郵便局の局長や点呼責任者らを懲戒処分とする。
東京都内で記者会見した千田氏は「お客様に多大なる心配と不安をかけ、心よりおわびする」と陳謝した。