石破首相、参院選公約に現金給付案盛り込む 財政悪化と「ばらまき」批判の中での方針転換

石破茂首相は、7月20日に投開票が予定される第27回参議院議員選挙に向け、物価高対策の一環として国民一人あたり2万円などの現金給付案を自民党の公約に盛り込むと表明しました。これは、わずか数日前の6月11日の党首討論で「政府として現在検討している事実はない」と否定していた発言から一転したものです。唐突な方針転換は、選挙目当ての「バラマキ」だとの批判や、国民からの冷めた視線を浴びています。報道各社の世論調査でも、給付金への反対が過半数を占める結果となっています。

党首討論での発言後に現金給付公約を発表した石破首相党首討論での発言後に現金給付公約を発表した石破首相

深刻な財政状況下での給付決定

首相は以前、野党議員からの減税要求に対し、「我が国の財政状況は間違いなく、極めてよろしくない。ギリシャよりもよろしくない」と述べ、日本の財政の厳しさを強調していました。国際通貨基金(IMF)のデータによると、日本の粗政府債務残高対名目国内総生産(GDP)比は2023年時点で240%に達しており、財政危機に直面した2009年当時のギリシャ(128.5%)を大きく上回っています。このような深刻な財政状況を認識しつつ、国民への大型現金給付を決定したことは、批判の根拠の一つとなっています。

選挙戦略としての側面と財政健全化目標の後退

現金給付への方針転換の背景には、来たる参議院選挙を有利に進めたいという狙いがあると広く見られています。さらに、6月6日に示された内閣府の「骨太の方針2025」原案では、財政健全化目標について「今年度(25年度)から来年度(26年度)を通じて可能なかぎり早期の基礎的財政収支の黒字化を目指す」と記述され、従来の2025年度単年度でのプライマリーバランス黒字化目標から事実上後退しました。これは、選挙対策と財政規律の緩みが同時に指摘される状況であり、国の財政運営に対する懸念を高めています。

石破首相による突然の現金給付公約表明は、日本の厳しい財政状況と以前の発言との矛盾、そして財政健全化目標の後退も相まって、選挙対策としての性格が強く批判されています。今後の動向が注目されます。

引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/b40312bb3db587ffe225517f97bb0c961ef24e1c