【ワシントン=淵上隆悠】イスラエルとイランの交戦を巡り、米国のトランプ大統領が掲げる「米国第一」に共鳴する岩盤支持層「MAGA」の間で米国の参戦に否定的な意見が目立つ。トランプ氏は共和党内の対イラン強硬派からは参戦を後押しされており、是非を慎重に見極めている。
共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は17日、自身のX(旧ツイッター)で、政府が取り組むべき課題は「外国での新たな戦争に突入することではない」と訴えた。安いガソリンや住宅、安全な地域社会や良質な教育の実現を重視すべきだと指摘している。グリーン氏はトランプ氏を熱烈に支持するMAGAの代表格だが、今回はトランプ氏をけん制する立場に回っている。
保守系団体「ターニング・ポイント」のチャーリー・カーク代表も17日、自身のXに「体制を変えようとする戦争はうまくいかない。我々には謙虚さが必要だ」と投稿し、本格参戦を回避するよう求めた。500万超のフォロワーを抱えるカーク氏が「米国はイスラエルとイランの戦争に介入するべきか」と尋ねるアンケート調査を行ったところ、反対が89・7%に上った。
トランプ氏は、MAGAから相次ぐ「参戦反対」の声にいら立っている。16日には、イランへの攻撃でトランプ氏がイスラエルと「共謀した」と主張する元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏について記者団から問われ、「何を言っているのかわからない」と一蹴(いっしゅう)した。トランプ氏はSNSで、親密な関係を築いてきたカールソン氏を変人呼ばわりした。
参戦を機にMAGAのトランプ氏支持が弱まれば、共和党にとっては来年の中間選挙で逆風となる。トランプ氏以上に「米国第一」を追求していると評されるバンス副大統領は17日、「トランプ氏は米軍の力を米国人の目標達成のためだけに使うと断言できる」と自身のXに投稿し、トランプ氏が参戦を決断しても理解してほしいと訴えた。