「再建のコンセプトをどうするのか、政府の考えを聞きながら県としての考えをまとめていく」。沖縄県の玉城デニー知事は29日の記者会見でこう述べ、首里城再建の具体的な方向性を明言しなかった。
首里城は、正殿などがある城郭内は国営公園、城郭外は県営公園。政府は「財政面においても国として責任を持って再建に全力を尽くす」(安倍晋三首相)との立場を示しており、国に再建への協力を求めている県として、「先走り」を回避した形だ。
だが、早く再建を進めたい県庁内では、全焼した正殿について「今度も木造でと考えている」(県幹部)との声も上がる。琉球王国世子の居宅だった中城御殿(なかぐすくうどぅん)や王家菩提(ぼだい)寺の円覚寺もあわせて復元し、円覚寺を収蔵庫とする案も出ている。
一方、政府でも文化財保護のため、耐火性の高い地下に収蔵庫を整備する案が浮上。有識者会議を今後設置し、建築や防火など6分野で検討を深める方針だ。
再建に役立ててもらおうと寄せられた資金は29日時点で、那覇市から県への譲渡分も含めて10億円を超える。寄付した人の中には県保有の文化財の修復ではなく、正殿など主要建築再建に充ててほしいと願う人が一定数いることが想定され、「建築物について、(国営公園の)城郭内であっても県がやるべき役割も出てくるのではないか」と県幹部。しかし、県側は今回の寄付金の使途について明らかにしていない。
必要な資材の確保も課題だ。首里城再建には沖縄独特の赤瓦約50万個が必要だが、赤瓦の原材料となる「クチャ」と呼ばれる土の採掘地は開発が進み、均質なクチャの確保が難しくなっている。県赤瓦事業協同組合の島袋義一専務理事は「行政に協力してもらわないと土を採掘できない」と述べ、用地確保を求める。
一方、前回復元した際は樹齢100年を超えるタイワンヒノキ約100本を使ったが、希少資源のため、台湾当局関係者は「今後は無理だ」と語る。政府内には「来年1月の台湾総統選後に要請すれば雰囲気が変わるかもしれない」との楽観論もあるが、タイワンヒノキに代わる木材の検討も進めている。
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