的場浩司、「ウジ虫」と呼ばれた過去 デビュー間もない頃の屈辱と数年後の再会

俳優の的場浩司さん(56)が、6月18日に放送されたABCテレビの番組「これ余談なんですけど…」に出演し、自身のキャリア初期に経験した強烈なエピソードを明かしました。番組内で「言われて最もヘコんだ言葉」というテーマが話題になった際、的場さんは「ヘコんだというか怒りの方が強かった」と述べ、19歳でデビューして間もない頃の出来事を振り返りました。この経験は、彼のその後の俳優人生における大きな原動力となったようです。

俳優・的場浩司氏(56)。テレビ番組で過去の屈辱的な体験について語る俳優・的場浩司氏(56)。テレビ番組で過去の屈辱的な体験について語る

19歳、屈辱の一言

的場さんが語ったのは、俳優の渡辺徹さんと共演した際のエピソードです。当時はまだ経験が浅かった的場さんは、渡辺さんに食事に連れて行ってもらったり、撮影の合間に芝居の指導を受けたりしていたといいます。渡辺さんが椅子に座り、的場さんが地面に座って熱心に指導を受けていたその時、通りかかったスタッフのひとりが、二人に向かって信じがたい言葉を吐き捨てました。それは、「おい、ウジ虫が神様と話してんじゃねえよ!」という、的場さんを蔑むような非常に侮辱的な言葉でした。この発言にスタジオは騒然となり、「ええっ!?」「なにそれ?」と驚きの声が上がりました。的場さんは、当時の昭和の撮影現場には、そのような厳しい、あるいは理不尽な空気感があったと説明しました。

怒りから生まれた決意

そのスタッフの言葉を聞いた的場さんは、落ち込むというよりは強い怒りを感じたといいます。「カチンときて、コイツ、いつか………と思って」と、心の中で期するものがあったことを明かしました。番組共演者の濱家隆一さんが的場さんが飲み込んだ言葉を推測すると、的場さんは笑いながら「昨今、僕もコンプライアンスって言葉を覚えた」と返し、スタジオの笑いを誘いました。的場さんの頭に最初に浮かんだのは濱家さんが言ったような復讐の言葉だったとしつつも、それ以上に強かったのは、「一番は、いつかコイツに、的場さん仕事をお願いしますって言わせてやる」という、自己成長と成功への強い決意だったと語りました。

数年後の再会、そして「言わせた」

そして、的場さんはその目標を達成したことを明らかにしました。「言わせたよ」と語る彼の言葉には、確かな手応えが感じられました。約5年から6年後、なんとそのスタッフが所属していた会社から的場さんに仕事のオファーがあったそうです。現場に行くと、件のスタッフがそこにいました。そのスタッフは的場さんに対して、「的場さんどうもご無沙汰してます。今回、お世話になります」と丁寧に挨拶をしてきたといいます。的場さんは、それまでの間、このスタッフに会ったら何を言ってやろうか、と考えていたそうですが、実際に再会すると、「こいつに言われたから、俺頑張ってここまで来たのかな」という思いが込み上げてきたと明かしました。

感謝とユーモア

最終的に的場さんは、そのスタッフに対して怒りではなく、むしろ感謝の気持ちすら覚えたといいます。「感謝の気持ちもあって」と、その場でスタッフに「気にしなくていいですよ。前みたいに的場って呼んでくださいよ」と声をかけたそうです。このエピソードを聞いた森公美子さんから、「ウジ虫でもいいですよって言わなかったんですか?」とユーモラスな突っ込みが入り、再びスタジオは爆笑に包まれました。的場さんにとって、若き日の屈辱的な言葉は、その後のキャリアを切り開くための逆境を跳ね返す力となったのです。


参考文献