日産自動車は6月17日、オンライン上で第3世代となる新型「リーフ」を世界初公開しました。第2世代と比べやや小ぶりになりつつ、満充電での航続距離が社内計測値で600kmを超えるなど、全面刷新に近い進化を遂げた新型リーフですが、事業再生の只中にある日産にとって、これが「救世主」や「切り札」となり得るのか、注目が集まります。
世界初公開された第3世代 日産 新型リーフ。スリークで大胆なデザインが特徴。
新型リーフは日産の「切り札」ではない?その戦略的ポジショニング
メディアの一部では、新型リーフを日産自動車の窮地を救う「救世主」や事業再生の「切り札」として報じる向きも見られます。しかし、ワールドプレミア後の日産関係者との意見交換からは、必ずしも日産がそのように位置づけているわけではないという印象を受けました。単なる正常進化でもなく、車体やバッテリーなど基幹部分が刷新されているため、第2世代とは全く異なるクルマという印象です。
今回の新型リーフは、日産のEVラインアップにおいて、クロスオーバーEVの「アリア」と軽EV「サクラ」の中間に位置づけられるモデルとなるようです。この、やや難しいとも言えるポジショニング自体に、日産の現在の戦略が見え隠れします。では、新型リーフは具体的にどのように進化し、日産にとってどのような意味を持つのでしょうか。
スリークで大胆なデザイン:サイズ変更と空力性能の進化
新型リーフのボディ寸法は、全長4405mm(北米仕様)/4360mm(日本仕様)、全幅1810mm、全高1557mm(北米仕様)/1550mm(日本仕様)です。これは第2世代の日本仕様と比較すると、全長が120mm短縮され、全幅は20mm拡大、全高は10mm低くなっています(第2世代のロッドアンテナ対応比では10mm高い場合も)。特に全高1550mmという数値は、日本の多くの機械式立体駐車場に対応することを強く意識したものです。
デザインコンセプトは「スリークで大胆なスタイルながら考え抜かれた室内空間」とされ、第2世代とは大きく印象が変わりました。このデザイン変更において特筆すべきは、空気抵抗係数(Cd値)をこのセグメントとしては異例の0.26(北米仕様は0.25)まで低減させた点です。これにより、時速100km走行時の電費が第2世代比で10%向上するなど、航続距離延伸に大きく貢献しています。
大幅向上した航続距離:新開発バッテリーと効率改善
新型リーフの最も注目される進化点の一つが、満充電での航続距離の大幅な延伸です。社内計測値では600kmを超えるとしており、これは搭載される電池セルおよび電池パックの容量刷新と、前述の優れた空力性能や電費効率の改善によるものです。新開発のバッテリー技術と車体全体の効率改善が組み合わさることで、EVとしての基本性能、特に長距離移動における実用性が大きく引き上げられています。
まずは北米仕様から:日本仕様は年内発表予定
今回世界初公開されたのは北米仕様が前提となっています。日本市場向けの仕様については、年内に改めて発表される予定です。北米仕様と日本仕様で細部の違いが生じる可能性もあり、今後の情報公開が待たれます。
新型日産リーフは、サイズの見直し、革新的なデザインによる空力性能の向上、そして最新バッテリー技術による航続距離の大幅な延伸など、第2世代から全く新しい次元へと進化を遂げています。日産の事業再生という大きな流れの中で、「救世主」と呼ぶにはロードマップの一部かもしれませんが、EV市場における日産の存在感を示す重要なモデルとなることは間違いありません。今後の日本仕様の発表と市場での反響が注目されます。
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/372975d38a481934720167e2233539db3fcdf763