病気にならない「健康長寿」に効く歩き方とは?5000人調査で判明

健康長寿を目指し、ウォーキングを日課とする高齢者は多い。しかし、専門家は「漫然と歩くだけでは病気は予防できない」と指摘する。5000人の高齢者を365日追跡調査した結果から導き出された、病気にならないための最適な歩き方とは一体どのようなものだろうか。

東京都健康長寿医療センター研究所が長期間にわたり収集・分析したデータに基づいて作成された「健康長寿の10カ条」がある。この中で特に注目すべきは、第3条の「足腰が丈夫である」ことだ。これは年を重ねるほど健康長寿にとって極めて重要となる条件である。

具体的には、歩行速度を維持できるだけの足腰の筋力を保つことが鍵となる。最近の研究では、歩行速度が将来的な健康度や自立度と密接に関連していることが明らかになっている。速く歩ける高齢者ほど、知的活動や社会参加を含む日常生活機能が低下しにくく、転倒や骨折、さらには寝たきりになるリスクも低い傾向にあり、結果として健康寿命が長くなることが示されているのだ。

「速く」「力強く」歩くことの重要性

筋力低下を防ぎ、運動強度を上げる歩き方

歩行速度を維持し、足腰の筋力を保つためには、短距離型の筋肉を意識的に使うことが有効だ。しかし、ただゆっくりと歩くだけではこれらの筋肉は十分に活動しない。この筋肉を使うためには、「速く」「力強く」を意識して歩くことがポイントとなる。

速さや力強さを意識して歩くと、自然と運動強度が増す。これにより体はより多くの酸素を取り込もうとする。例えば、歩く速度を上げると息が上がるように、体は多くの酸素を必要とする状態になるのだ。個人の最大酸素摂取量に対する運動強度の割合を示すグラフがあるが、筋力低下を防ぐためには、この運動強度を高める必要がある。

中強度活動としての速歩き

速く歩くことは運動強度を高める効果がある。具体的には、歩きながらであればなんとか会話できるくらいの速さが「中強度活動」に該当する。健康長寿を実現するためには、このような中強度活動、すなわち「速歩き」を日常生活の中に意識的に取り入れることが非常に重要なのである。漫然としたウォーキングではなく、少し息が弾む程度の速歩きこそが、病気を防ぎ健康寿命を延ばすための鍵となるのだ。

健康長寿を目指し、活発にウォーキングをする高齢者のイメージ健康長寿を目指し、活発にウォーキングをする高齢者のイメージ

まとめ

健康長寿のためには、単に歩くだけでなく、足腰の筋力を維持・強化するための「速く」「力強く」歩く、すなわち中強度活動としての速歩きが効果的であることが、大規模な調査研究から示唆されている。これは、加齢に伴う機能低下を防ぎ、活動的な生活を長く続けるための重要な示唆となる。

参考文献

青柳幸利『すべての病気が防げる長生き歩き』(エクスナレッジ)
Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/3c1b6d3203aaf8737e82fd854de8640e8fd97f4c