石丸伸二氏、都議選後会見で異例の反応 敗戦認めぬ姿勢際立つ

政治家が敗戦の弁に立つ際、通常は自身に責任を負い、支援者への感謝を述べるものだ。しかし、「再生の道」代表の石丸伸二氏は違った。厳しい選挙結果を突きつけられても、自身の非を一切認めようとしない。ついには「報道が悪い」とメディアに責任を転嫁し、記者を“説教”し始める一幕もあった。

都議会議員選挙の開票日夜9時から始まった石丸伸二氏の記者会見。各社から厳しい議席獲得予想が出揃う中、石丸氏は「余裕の笑み」を携えて会見場に現れた。冒頭、彼は「今は結果を待つという時間なんで、正直なところリアクションの取りようがなく、皆さんに何を聞かれるのか少し心配というか…」と述べつつ、「何を聞いていただいても構わないので皆さんに期待をしている次第です」と短く挨拶を終え、すぐに質疑応答に移った。

まず国民の意識を変えられた実感はあるかとの問いに対し、石丸氏は「国民の意識が変わると言うのはそんなに簡単なことではないと依然として捉えています」と前置きした上で、「ただ、少しずつでも確実に変化してきているな、という受け止め方です」と答えた。その根拠については、「マスメディアの皆さんの報道に現れている、と。団体としてのポリシーをそれぞれの立場で可能な限り国民に伝えてくださったのかな、と。それをもって国民の意識はきっと変化してきているだろうと思っています」と述べ、メディアの報道が国民意識の変化を促したとの見解を示した。

1年前の都知事選で大きな旋風を巻き起こしたが今回はどうか、という質問に対しては、「昨年の都知事選で旋風と言われるのは、聞いていてこそばゆいと感じています。選挙では起こりうる現象の一つに過ぎないと自分では捉えています」と回答。今回の都議選については、「1年前の都知事選からの流れで、旋風というとあれですが、とても大きなものが手に入った。それをうまく使おうというのが出発点で、選挙に向かうまで公募で1128人集めた。その時点でしっかり使えたなと思った」と述べ、多くの候補者を集められたことを成果として強調した。さらに、「そこから先は今回で言うと42人それぞれの選挙区で活動する。これまでにない動きが生じたんだとは思っています」と、今回の選挙活動自体にも一定の価値があったとの認識を示した。

今後も同様のやり方で地方選挙を戦うつもりはあるのか、という問いに対しては、「1月の会見ではっきり私は説明をしました。目的は広く国民の政治参加を促す。目標は都議選に候補者を擁立する、と言っているんです」と、自身の過去の発言を引用して説明した。そして、「きちんと手が届く範囲で目標、目的を定めて、それを確実に実施、実行してきています。その意味で、すでに再生の道としての機能を確認できたと思っています」と述べ、「ですので、これから先、他の選挙でも同じことが展開できると自信は持っているところではあります」と語った。これらの発言からは、厳しい選挙結果にもかかわらず、自身の活動や戦略に誤りはないとする、敗戦を認めない頑なな姿勢が垣間見えた。ここまでは記者たちの質問にもある程度の遠慮があったが、次に日本経済新聞の記者が、再生の道が党としての具体的な公約を掲げなかった点について「都民が求めていたのは具体策だったとは思わないか」と鋭い質問を投げかけると、石丸氏のスイッチが入ったかのように態度が変わった。

都議選後の記者会見で質問に答える石丸伸二氏、厳しい結果の中でも余裕の笑みを浮かべる都議選後の記者会見で質問に答える石丸伸二氏、厳しい結果の中でも余裕の笑みを浮かべる

都議選の結果を受けた会見に臨んだ石丸氏の言動は、一般的な政治家の敗戦の弁とは一線を画すものだった。結果への責任を明確にせず、メディアの報道に言及し、自身の活動を成功と捉える発言を繰り返した。こうした異例の反応は、今後の政治活動においても注目される点となるだろう。