千葉・松戸 姉殺害事件 三栖史靖容疑者「冷たい目」と「殺意なき」供述の闇

「包丁で刺しました」――身体中に血痕をつけた男が警察に出頭したのは、2024年6月20日昼前のことだった。千葉県松戸市で発生したこの衝撃的な姉弟間殺人事件で、和歌山県和歌山市の無職、三栖史靖容疑者(33)が殺人の疑いで逮捕された。容疑者の供述と犯行の状況には食い違いがあり、事件の背景にある「闇」の解明が待たれる。

事件概要

千葉県警松戸東署は6月21日までに、和歌山市在住の三栖史靖容疑者を殺人の疑いで逮捕したと発表した。容疑者は、松戸市内のアパートで一人暮らしをしていた4歳年上の姉Aさん(年齢不詳)を、6月20日午前11時過ぎ、刃物で複数回刺して殺害した疑いが持たれている。

犯行の詳細

事件は6月20日午前11時過ぎに発生したとみられる。三栖容疑者は姉Aさんのアパートを訪問した際にトラブルになった模様だ。使用されたのは包丁とみられ、Aさんの胸や背中を狙って執拗に多数回刺し続けたという。刺し傷は10ヵ所以上に及び、中には心臓にまで達する非常に深いものもあった。この凄惨な犯行状況は、強い殺意の存在を強く示唆している。

自首と逮捕

犯行からわずか約15分後、三栖容疑者は現場から約300メートル離れた交番に自ら出頭し、「包丁で刺しました」と犯行を認める発言をした。これを受け、警察官がAさんのアパートに急行。室内の血だまりの中で倒れているAさんを発見し、病院へ搬送したが、残念ながら死亡が確認された。事件後、自首した容疑者の身柄は迅速に確保された。

容疑者の供述と背景

逮捕後の警察の取り調べに対し、三栖史靖容疑者は「刺して殺したのは間違いないが、殺意はなかった」と、殺意に関する容疑を一部否認している。無職である容疑者は、自身の自宅がある和歌山県から、電車や新幹線を乗り継いで遠路はるばる松戸の姉のアパートを訪れていたことが分かっている。この長距離移動の事実も、犯行の計画性を探る上で捜査の焦点となっている。

千葉・松戸 姉殺害事件で逮捕された三栖史靖容疑者を送検中に撮影。丸メガネの奥から冷たい視線を向ける。千葉・松戸 姉殺害事件で逮捕された三栖史靖容疑者を送検中に撮影。丸メガネの奥から冷たい視線を向ける。

専門家の見解

元神奈川県警刑事の犯罪ジャーナリスト、小川泰平氏は、今回の事件について専門的な分析を提示している。同氏によると、被害者の身体に残された10ヵ所以上の刺し傷、特に心臓にまで達する深い傷跡は、犯行時の相当な殺意を物語っていると指摘する。心臓という致命的な急所を狙った点や、凶器である包丁を和歌山から持参した可能性があれば計画性も強く疑われると述べ、偶発的なものではなく、容疑者が姉に対して抱いていた強い恨みが背景にある犯行との見方を示した。今後の捜査において、姉弟間に具体的にどのような親族トラブルがあったのかを徹底的に解明することが、事件の真相に迫る鍵となるだろうと強調した。

現場の状況

事件現場となった松戸市内の閑静な住宅街では、事件発生直後から多数の警察官が捜査や現場検証にあたり、一時的に騒然とした雰囲気に包まれた。近隣住民からは、突然の出来事に対する驚きと不安の声が聞かれたという。

千葉県松戸市で起きた痛ましい姉弟間殺人事件は、多くの謎を残したまま捜査が進められている。自ら出頭しながらも殺意を否認する三栖史靖容疑者の供述の真偽、そして遠距離移動や凄惨な犯行状況が示唆する計画性、何よりも根深いとみられる親族トラブルの全容解明が、今後の焦点となる。家族という最も近しい関係で起きた悲劇の背景には、一体どのような闇が隠されているのだろうか。

Source: FRIDAYデジタル