米軍によるイラン核施設への攻撃を受け、イラン軍の中央司令本部の報道官は23日のビデオ声明で、米国に対して「予測できない結果をともなう強力な作戦を行う」と警告した。さらに「ギャンブラーのトランプ（米大統領）よ、お前は戦争を始められるかもしれないが、終わらせるのは我々だ」と強調した。米国側がイランの「体制転換」に言及する中、イランは対決姿勢を一段と強めており、情勢は緊迫している。
報道官は声明で「米国はイランと直接戦争に突入した。無益であるばかりか、イラン軍の標的を拡大させ、地域に戦火が広がる土台を築くだろう」と指摘。イラン軍トップのムサビ参謀総長も「我々は決して引き下がらない」と述べた。
最高指導者ハメネイ師は23日、X（ツイッター）で「処罰は続く」と投稿。外務省の報道官も、米CNNテレビに「（報復は）間違いなく行う。何が起きても、責任は全て米国とイスラエルにある」と述べた。
地元メディアによると、首都テヘランでは22日、米国の攻撃に対する抗議デモが起き、ペゼシュキアン大統領も参加した。イランは23日もイスラエルへ向けてミサイルを発射。近く、中東の米軍基地などを標的に報復攻撃を行うとの見方が強まっている。
また、地元メディアによると、イラン国会は22日、ホルムズ海峡の封鎖を全会一致で承認した。最終判断は、大統領が議長を務める最高安全保障委員会が行うという。ホルムズ海峡は原油輸送の要衝であり、封鎖されれば世界経済に大きな混乱が生じる。
一方、イスラエル軍は22日から23日にかけてもイラン各地への空爆を続け、空港6カ所やミサイル関連施設などを攻撃した。ザミール参謀総長は22日、「まだ攻撃すべき目標がある。作戦計画にそって攻撃を増やしていく」と語り、軍事作戦を続ける意向を示した。【カイロ金子淳】
