アメリカによるイランの核施設に対する攻撃により、緊迫する中東情勢は重大局面を迎えています。米国防長官は、今回の攻撃について「素晴らしく圧倒的な成功だった」と強調し、イランの核開発計画を「壊滅させた」と主張しました。この軍事作戦の詳細と、その真の効果について国内外で分析が進んでいます。
米、イラン核施設攻撃の「圧倒的な成功」を強調
ヘグセス国防長官は記者会見で、イランの3つの核施設への攻撃作戦「ミッドナイト・ハンマー」が「素晴らしく圧倒的な成功」だったと発表しました。作戦にはB2戦略爆撃機7機を投入し、地下貫通爆弾「バンカーバスター」の中でも最大級とされる「GBU-57」14発を初めて実戦使用したと述べ、「我々はイランの核開発計画を壊滅させた」と成果を強調しました。
攻撃の有効性には疑問の声も
攻撃に対し、イランのアラグチ外相は平和利用目的の施設への「アメリカ軍の残忍な行動」と強く非難しました。一方、攻撃の実際の効果については、異なる見解も出ています。ニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカとイスラエルの当局者の見解として、特に地下にあるフォルドゥ核施設については「完全な破壊には至らなかった」と報じています。また、バンス副大統領もテレビ出演時、核施設の完全な破壊を確信しているか問われ、「イランの核兵器開発を大幅に遅らせた」と述べるにとどめるなど、慎重な姿勢を示しました。
軍事専門家による分析:地下核施設への攻撃効果は?
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、「バンカーバスター」は地中に深く潜り込んで地下深くを攻撃する爆弾の総称であり、多くのものが2トン程度であるのに対し、GBU-57は桁違いに重く、その重さと勢いでより深く地中に到達するため到達深度が深いと解説します。トランプ大統領などが破壊したと強調するイランの核施設について、特にフォルドゥの基地が地下80〜90メートルの場所にあり、空爆に耐えうるよう強化コンクリートで補強されている可能性が高いと言及。黒井氏は、GBU-57を12発投下しても地表部分は破壊されても、地下施設の「破壊の度合いは調査を経ないとわからない」と分析し、公式発表に慎重な見方を示しました。
今回の米軍によるイラン核施設への攻撃は、米国防長官が「圧倒的な成功」を強調したものの、標的となった地下施設への実際の効果については不確実性が残る状況です。専門家による分析も、地下深くの強化施設への攻撃の困難さを示唆しており、イランの核開発計画の今後や、それに伴う中東情勢の展開は引き続き国内外で注視が必要です。
参照元
- FNNプライムオンライン
- The New York Times
- 米国防長官 ヘグセス氏 発言
- イラン外相 アラグチ氏 発言
- 米副大統領 バンス氏 発言
- 軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏 分析