米空爆、イラン核施設に甚大被害 衛星画像が捉えた損傷

最新の衛星画像が、アメリカ軍による空爆で損傷したイランの核施設の状況を明らかにした。イスラエルによる大規模空爆に続き、アメリカは6月22日、イラン国内の主要な核関連施設3カ所(フォルドウ、ナタンズ、イスファハン)を攻撃した。この米空爆によってイラン核施設が甚大な被害を受けたことが確認されており、衛星画像はその証拠を示している。

衛星画像が示すフォルドウ核施設の損傷

マクサー・テクノロジーズが6月22日に撮影した衛星画像には、テヘラン南部に位置するフォルドウ地下核施設を覆う尾根に、空爆によるとみられる複数の大きな穴(クレーター)が写し出されている。今回の攻撃で生じた粉じんや瓦礫の層が広がり、地下施設へ続く複数のトンネル入口は、土砂で塞がれているように見える。

米空爆により地表に複数のクレーターができたイランのフォルドウ核施設上空の衛星画像。地下施設への入り口付近には土砂が見える。米空爆により地表に複数のクレーターができたイランのフォルドウ核施設上空の衛星画像。地下施設への入り口付近には土砂が見える。

作戦の詳細:B-2爆撃機とバンカーバスター

ドナルド・トランプ大統領は、主要なウラン濃縮施設であるフォルドウに対し、アメリカ軍機が「フルペイロード(最大搭載量)」の爆弾を投下したと述べた。この施設は空爆防御のため山奥深くに埋設され、イランで最も防御力の高い核施設とされる。

統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は、7機のB-2スピリットステルス爆撃機が、合計14発の大型地中貫通弾バンカーバスターをイランの核施設に投下したと発表した。「ミッドナイト・ハンマー」作戦と名付けられたこの極秘作戦は、極めて複雑だったという。

ケイン将軍によれば、投下されたのはアメリカ軍最大の通常爆弾である3万ポンドのMOP(Massive Ordnance Penetrator)GBU-57。これはフォルドウのような地下深部施設を貫通できる唯一の兵器と考えられており、MOPの実戦使用はこれが初めて。フォルドウには複数発のMOPが投下されたが、施設の具体的な損傷程度は不明だ。

空爆に関与した戦力

今回の作戦には、B-2爆撃機や第4・第5世代戦闘機、空中給油機など125機以上のアメリカ軍機が参加した。相当量の欺瞞工作も行われたとされる。

イランの標的に向けて計75発の精密誘導兵器が発射された。内訳は14発のMOP、および中東の非公表海域の潜水艦からの20発以上のトマホーク巡航ミサイルなどだ。

作戦の戦果判定

ケイン将軍は、戦果判定には時間がかかるとしつつも、現時点で得られた情報から、攻撃を受けたイランの3つの核関連施設(フォルドウ、ナタンズ、イスファハン)はいずれも損傷または破壊されたとみられるとの見方を示した。

ナタンズ、イスファハンへの攻撃と関係者の見解

マクサー撮影の衛星画像は、テヘラン南部・国内中部に位置するナタンズおよびイスファハンの核施設に対する米空爆痕跡も捉えた。

イスファハンの主要インフラには潜水艦からトマホーク巡航ミサイルが発射され、衛星画像は大きな被害を示している。国連原子力監視機関のラファエル・グロッシ氏は、イスファハンで広範な被害が確認されたと述べた。一方、イラン当局は、3施設への米空爆後も周辺での放射線量上昇は見られないと報告。

今回のアメリカ軍によるイラン核施設への空爆は、特に地下深部にあるフォルドウ施設に対して、MOPという特殊兵器を使用するなど、高度に計画された作戦であったことが示された。衛星画像によって物理的な損傷が確認されたことは、アメリカがイランの核開発能力に打撃を与えたという主張を裏付けている。今後の戦果評価やイラン側の反応が注目される。