フランス警察は22日、パリ郊外にあるテーマパーク、ディズニーランド・パリで行われた奇妙な「イベント」に関する捜査結果を発表し、事情聴取のために2人が拘束されたことを明らかにした。このイベントは、成人のグループが園内を貸し切り、エキストラ数百人を雇って9歳のウクライナ人少女のために「偽の結婚式」を演出したとされる事案だ。当初は違法な児童婚の可能性も疑われ、警戒が広がった。
パリ郊外にあるディズニーランド・パリ(資料写真:別のイベント時の様子)
事件の背景と捜査結果
事件は21日朝に発覚した。ハイヒールを履いて登場した少女が立つのもやっとな状態を目にしたディズニーランドのスタッフが不審に思い、違法な児童婚の可能性があるとして警察に通報したことがきっかけだ。
当初は重大な警戒態勢が敷かれたものの、その後の調べにより、事件の様相は異なると判明した。検察関係者はAFPに対し、「このイベントは本物の結婚式ではなく、約100人のエキストラを使った撮影イベントだった」と語り、実際には「あたかも本物の結婚式のように、ディズニーランド・パリを借り切っていた」状況であったことを明かした。
主催者拘束と少女の安全
イベントを主催したとみられる人物として、22歳の男性(「新郎」とされる)と24歳のラトビア人女性が、詐欺とマネーロンダリングの疑いで拘束された。この男性は身元に関する偽造書類を提出しており、ディズニーランド側が訴えを起こしている。
最も懸念されていた少女の安全については、検察庁が医療検査を含む詳細な調査の結果、ウクライナ国籍のこの少女は「暴力や強制を一切受けていないこと」が確認されたと発表し、安堵が広がった。
仏紙ル・パリジャンによれば、数週間前、ある男性が開演前の時間帯のディズニーランド・パリを13万ユーロ(約2200万円)で貸し切る契約を結んでいた。捜査当局に対し、少女の母親は「娘に『プリンセスにふさわしい一日』を味わってほしかった」とイベントの動機について説明しているとされる。
まとめ
パリ郊外のディズニーランド・パリで発生した奇妙な「結婚式」騒動は、本物の結婚式ではなく、撮影を目的とした偽装イベントであったことが捜査により明らかになった。詐欺やマネーロンダリングの疑いで主催者とされる2名が拘束された一方、関係したウクライナ人少女の安全は確認された。この事件は、高額な費用をかけてまで子供に非日常的な体験をさせようとした親の動機と、それが引き起こした予期せぬ事態を示すものとなった。