中居正広氏とフジテレビ騒動の行方:株主総会で問われる責任、提訴の可能性も浮上

元タレントの中居正広氏(52歳)が芸能界を離れてから5カ月が経過したが、引退の引き金となったフジテレビの元女性アナウンサーを巡るトラブルに関する騒動は、いまだ収束の兆しを見せていない。この問題は、単なる個人のトラブルに留まらず、フジテレビの経営や今後の方向性にも大きな影響を及ぼしている。

第三者委員会報告と中居氏の反論

騒動の発端は、2023年6月2日に発生したとされる女性とのトラブルだった。2025年3月31日、フジテレビの第三者委員会が公表した調査報告書では、中居氏による「業務の延長線上の性暴力」と認定された。これに対し、中居氏は5月、認定の「中立・公平性に欠ける」点を指摘し、代理人弁護士を通じて第三者委員会に証拠開示などを2度にわたり要求した。しかし、第三者委員会は6月3日、女性に対する「二次加害」の懸念を理由に、今後のやり取りには応じない旨を通達し、事実上の交渉は打ち切りとなった。その後、中居氏側に新たな動きは見られなかったが、フジテレビが被害女性と対面で謝罪し、損害補償で合意したと6月19日に発表すると、翌日、中居氏側は「第三者委員会報告書における評価と当職らの法律的評価とにご存じのとおり相違があります」と再び反論。両者の間には、依然として深い溝が存在している状況だ。

フジテレビとの騒動の渦中にある中居正広氏フジテレビとの騒動の渦中にある中居正広氏

フジテレビの対応と経営危機

「名誉回復」に向けて動きを活発化させる中居氏に対し、渦中のフジテレビもまた、一連の問題で被った損失を取り戻すべく奔走している。5月16日、フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は2025年3月期決算を発表し、純損益が328億円の赤字に転落したことを明らかにした。この主な原因は、一連の問題への対応を受け、フジテレビへのCM出稿を差し控えるスポンサー企業が相次いだことにあるとされる。同局の清水賢治社長(64歳)は6月5日、「被害が生じている」と言及し、中居氏のトラブルへの関与が取り沙汰されていた元編成幹部を含む5名の処分や、港浩一前社長(73歳)と大多亮元専務(66歳)に対する訴訟の準備に入ったと発表した。

株主総会の焦点と中居氏への提訴可能性

こうした動きの背景には、6月25日に予定されているFMHの株主総会がある。経営の早期正常化を目指すフジテレビにとって、この株主総会はまさに正念場となる。そして、この株主総会は中居氏にとっても無関係ではない。FMHは総会で、清水社長ら取締役候補11名の選任議案を提出している。一方で、「モノ言う株主」として知られ、FMHの株式の7パーセント超を保有する米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」も独自の候補を提案しており、新たな経営陣の顔ぶれが注目されている。さらに、株主総会では中居氏本人の問題が議題として取り上げられる可能性も考えられる。今回、フジテレビ側が港前社長らの提訴を決断した背景には、騒動の責任者を追及することで株主総会を乗り切りたいという思惑が強いと見る向きがある。そのため、フジテレビの状況をここまで悪化させたトラブルの「元凶」でもある中居氏に対して、法的責任を追及すべきだという株主からの声が上がる可能性は十分にあり得る。実際、清水社長は港前社長、大多元専務を提訴すると発表した際、中居氏への提訴について記者から問われ、「すべての選択肢は残したままとしている」と含みを持たせた回答をしていた。もし中居氏が提訴されることになった場合、求められる賠償金額は相当な額になる可能性が高い。

この複雑な状況の中、中居氏は「難局」を乗り切ることができるのか、その行方は依然として不透明だ。株主総会の結果次第で、騒動は新たな局面を迎える可能性がある。

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