「24時間テレビ」のチャリティー募金を、日テレ系列局の関係者が横領した──1978年から続く日本テレビの象徴的な番組にまつわるこの衝撃的なニュースが報じられたのは、2023年11月のことでした。鳥取県鳥取市に本社を置く日本海テレビ(日本テレビ系)の幹部社員だった田村昌宏被告(55)が横領行為により懲戒解雇された事件です。この出来事を受け、番組の総合司会を務める水卜麻美アナウンサーが様々な番組で謝罪したことも多くの人々の記憶に残っています。事件の発覚からおよそ1年半が経過した2025年5月27日、鳥取地方裁判所にて、田村被告の初公判が開かれました。被告人がかつて日本海テレビの経営戦略局長を務めていた当時のこと、情状証人として出廷した妻が夫を支え続ける「覚悟」を法廷で語った様子などについてレポートします。
法廷に現れた被告人、罪状を認める
スーツに身を包み、マスクで顔の表情を隠した田村被告は、起訴された事実について「間違いございません」と述べ、罪を認めました。法廷に入る際には、裁判官をはじめとする法曹関係者に対し一礼し、さらに騒動を詫びるかのように傍聴席にも一礼しました。その立ち居振る舞いは、年齢相応の会社員そのものといった様子でした。起訴状によると、被告人は当時勤務していた日本海テレビジョン放送において、総務経理部門、または経営戦略局の局長として、経理業務全般を統括する立場にありました。しかし、自己の利益のために、会社の預金口座から合計約470万円を自身の口座へ送金したとされています。さらに、24時間テレビのチャリティー募金からも10万5000円を自身の口座に入金する形で横領行為を行ったとされています。
経理責任者の立場で横領を繰り返す
検察官による冒頭陳述などから、被告人は大学卒業後に同社へ入社し、平成29年には経理業務全般の統括を任され、預金出入金の最終判断を単独で行える立場にあったことが明らかになりました。令和元年から3年にかけ、架空の取引があったように装って振込伝票を作成し、自らが支払ったかのように見せかけ、ネットバンキングを利用して約420万円を振り込んだとされます。明細書などは加工して作成していました。経営戦略局長に就任した後も、『24時間テレビ』のチャリティー募金を自身の口座へ入金していたのです。責任ある立場にまで昇り詰めた田村被告でしたが、給与口座は東京に住む妻が管理しており、妻が家計全般を管理する「お小遣い制」だったといいます。被告人は毎月、妻から6万円から10万円の小遣いを受け取っていました。横領した金銭は、生活費、飲食費、そしてスロット代に費やされたとのことです。
鳥取地方裁判所での初公判に出廷した日本海テレビ元幹部。24時間テレビ募金着服の罪を問われる。
事件発覚時の状況と妻の証言
この横領行為により、被告人は令和5年に懲戒解雇されました。事件当時、被告人は妻とは一緒に住まず、鳥取で自身の父母と同居していました。NEWSポストセブンが被告人の父親に取材した際には、「息子は東京に所帯を持っていて勤めがこちらの局だったので、(事件を起こす前から)ずっとおります」と語っており、基本的には別居婚の状態だったことがうかがえます。初公判には、情状証人として妻が出廷し、法廷で夫を今後も支え続ける覚悟について証言しました。
今回の初公判では、被告人が経理責任者という立場を悪用し、長期間にわたり会社の資金や寄付金を着服していた実態や、その動機、そして家族との関係性が一部明らかになりました。社会的な信頼を裏切る行為の背景に、被告人の個人的な経済状況や生活スタイルが影響していたことが示唆されています。今後の裁判で、事件の全容や量刑がどのように判断されるか注目されます。
参考文献:
[bài viết gốc] (https://news.yahoo.co.jp/articles/09a8b2c22e708a4ec8dcc33075b8df6cb06f9782)