トランプ氏、イラン停戦で成果強調 広島・長崎への原爆投下言及し物議

米国のトランプ大統領は、イランの核開発放棄に向けた協議開始に言及しつつ、イラン核施設への攻撃を広島と長崎への原爆投下になぞらえ「戦争を終わらせた」と述べ、自身の成果を誇示しました。この発言は物議を醸しており、中東情勢はトランプ氏の言動によって大きく揺れ動いています。

イラン核施設攻撃と広島・長崎言及について語るトランプ大統領イラン核施設攻撃と広島・長崎言及について語るトランプ大統領

イラン・イスラエル停戦とトランプ氏の「歴史的役割」

トランプ大統領が「完全なる終戦」と宣言した日本時間の25日午後1時すぎ、イスラエル国内では学校が再開されました。イスラエル市民からは安堵の声が聞かれ、日常を取り戻す動きが見られる一方で、12日間に及んだ戦闘の総括も始まっています。

今回の軍事衝突では、イスラエル側で28人、イラン側で610人という、決して少なくない犠牲者が出ました。双方ともに勝利を宣言しており、イスラエルのネタニヤフ首相は「国民の皆さん、12日間にわたる作戦により、歴史的な勝利を収めました」と述べたのに対し、イランのペゼシュキアン大統領は声明で「この歴史的勝利の栄光は、偉大な文明国家イランのものです」と主張しています。

停戦の直接のきっかけとなったのが、アメリカによるイランの核関連施設への攻撃でした。この停戦合意を自らの成果としたいトランプ大統領は、記者団に対し「(イランとイスラエルの停戦をどうみている?)とても、うまくいっています」と意気揚々と答えました。

「ノーベル平和賞」推薦アピール

さらにトランプ大統領は、停戦合意を仲介した功績によってノーベル平和賞に推薦されたと自身のSNSで積極的にアピールしました。SNSで公開された米共和党カーター下院議員からの推薦書簡には「トランプ大統領はイスラエルとイランの武力紛争を終結させ“並外れた歴史的役割”を果たした」と記されています。他にも、米共和党のマリアネット・ミラー・ミークス下院議員も「トランプ大統領はノーベル平和賞に値する」と述べるなど、共和党議員からの支持表明が続いています。

トランプ氏周辺の「お世辞」と批判報道

トランプ大統領の周辺では現在、こうした賛辞や“ご機嫌取り”が盛んに行われていると報じられています。NATO(北大西洋条約機構)のルッテ事務総長もその例外ではないようです。ルッテ事務総長が送ったとされる私的なメッセージには「親愛なるドナルド。イランへの断固たる行動に感謝します。おかげで我々全員がより安全になりました。あれだけ思い切ったことは誰にもできません」と書かれていました。このメッセージをトランプ大統領がSNSに公開したことに対し、AP通信は「こびへつらっているようだ」と批判的に報じています。

今回のイラン・イスラエル間の停戦を巡るトランプ大統領の一連の発言や、ノーベル平和賞への意欲、そして周囲からの評価を巡る報道は、彼の独特な外交姿勢と自己演出の巧みさを浮き彫りにしています。特に核施設攻撃を広島・長崎への原爆投下になぞらえた発言は、唯一の被爆国である日本との関係においても波紋を呼ぶ可能性があり、今後の中東情勢や国際社会におけるトランプ氏の立ち位置が注目されます。

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