群馬県桐生市役所の新庁舎建設工事を巡る公競売入札妨害事件で県議らが逮捕されたことについて、山本一太知事は26日の定例記者会見で言及。「背景に群馬の古い利権構造がある」「参院選への影響は想定以上に厳しくなる」との見解を示した。
群馬県庁で記者会見する山本一太知事
事件への言及と背景認識
山本知事は、前週の会見中に自民党県連議員団長の相沢崇文容疑者(49)の逮捕を聞き、驚きを示したことに触れ、「今も残念に思う」と述べた。さらに、ここ3年で主要市の副市長2人が同様の事件で逮捕された事実を挙げ、「背後に群馬の古い政治とカネの文化があり、こうした事件は再び起きると思っていた」との認識を語った。
県議と企業の関係性、政治献金
相沢容疑者が入札で便宜を図ったとされる関東建設工業との関係にも触れた知事は、「以前、同社の社長と私との会食を秘書に打診してくるなど、周囲も指摘していたが、まるで使い走りのようなことをしていた」と説明した。相沢容疑者が同社など関係2社から多額の政治献金を受けていた点も指摘。
透明化の時代と有権者の怒り
知事は、かつて国会議員の不祥事には厳しくても地方議員は「お目こぼし」があった時期に言及しつつ、交流サイト(SNS)の普及により今は「透明化の流れは地方も変わりない」と指摘。その上で「有権者が最も怒るのは権力の力で税金の使い方を捻じ曲げることだ」とし、参院選への影響は「非常に大きくなる」との見通しを示した。
企業への提言と今後の対応
企業に対しても「業績は大変、立派だが、特にトップの責任は重い」と述べ、古い体質からの脱却を促した。今回、県外の知人から「群馬は利権の巣窟と思われていて、大変、恥ずかしい」との声があったことを明かし、自民党県連とも協力して早急に打開策を講じる必要性を強調。「政治資金の透明化が急務で、やらないと今回の事件で終わらないだろう」と述べ、改革の必要性を訴えた。
山本知事は、今回の事件を契機に、群馬県の政治における古い体質と利権構造を根絶し、政治資金の透明化を徹底することが、今後の県政運営および有権者の信頼回復に不可欠であるとの強い決意を示した。