長野県長野市中越1の県道で走行中の乗用車からタイヤ2本が外れ、近くにいた歩行者4人が軽傷を負った4月の事故で、県警が車を整備した自動車販売業者の整備担当者を業務上過失傷害の疑いで捜査していることが、捜査関係者への取材で分かった。タイヤは2本とも駆動部に近いブレーキドラムごと外れていたことが捜査で判明。県警はブレーキ関連の整備で何らかの不備があったとみている。
19日までの取材で判明。また、国土交通省が道路運送車両法に基づき、この業者への調査に着手したことも分かった。同省北陸信越運輸局(新潟市)は取材に「事案は把握しているが、調査状況は答えられない」としている。
整備した車を回送運行中に発生
事故は4月27日午前10時15分ごろ、業者が長野市内の工場で整備した車を、社員の男(31)=長野市=が回送運行していて発生した。試運転のために公道を走っていたとみられる。県警は業者側の過失責任を慎重に捜査しており、運転していた社員についても自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで調べている。
たい焼き店に並んでいた客ら直撃
脱落したタイヤは、たい焼きなどの販売店に並んでいた客ら4人を次々に直撃した。県警によると、タイヤは車から見て店の手前15メートルほどの地点から転がった。車は制御不能になり、店舗とは反対側の道路脇で停止した。
「まさかタイヤが飛んでくるとは」
長野市で走行中の乗用車からタイヤが外れ、歩行者を直撃した事故。目撃者は「一歩間違えば自分たちにも当たっていた」と振り返る。走行中の車から外れたタイヤによる死傷事故は各地で発生。再発を防ぐため、専門家は今回のケースの徹底した検証を国や事業者に求めている。
5月18日午前8時過ぎ、長野市中越1の事故現場。タイヤがぶつかり、けがをした女性2人と目撃者の男性が立ち会い、実況見分が行われた。長野中央署員らが約1時間かけ、タイヤが外れたとみられる地点や歩行者との衝突地点を確認、撮影していた。
立ち会った男性(57)は取材に、歩道を歩いていた際に「タイヤが正面から転がってきた」と証言。道路側を歩く妻のすぐ横をかすめていったという。「まさかタイヤが飛んでくるとは思わなかった」