35歳以上で結婚した男女を取材し続けて10年になる。50代初婚同士なども珍しくなく、筆者自身が今年で49歳になるため、30代前半で婚活を始めたという人に会うと「若いのに早いなぁ!」という感想を抱きがちだ。しかし現実には、これは全く早くないタイミングと言える。
見知らぬ異性をパートナー候補として探す際、多くの人が真っ先に挙げる条件の一つが年齢だ。現在の婚活市場において、活動する人のボリュームゾーンは30歳前後であり、男女ともに希望する年齢差は前後5歳程度であることが多い。共働きが当たり前になっている現代では、10歳以上年上の結婚相手を受け入れる女性は以前より少なくなっている。この現実を踏まえると、恋愛に奥手だと自覚している人ほど、条件面が比較的良い時期、つまり30代前半といったタイミングで婚活市場に踏み出すことが賢明かもしれない。
30代で婚活を開始した看護師、里香さんのイメージイラスト
自称「行動的だけど地味」だという女性のケースを見てみよう。神奈川県に住む看護師の杉山里香さん(仮名、37歳)は、合コンなどではあまりモテなかったが、33歳のときに登録したマッチングアプリでは多くの男性からアプローチがあったと語る。彼女が会った7人の男性はいずれも真面目なタイプで、そのうちの1人が2年後に結婚することになる弘樹さん(仮名、39歳)だった。
里香さんは、行動的な一面を持ちつつも、女性としては地味だと自身を評している。これまでの恋愛経験は皆無に等しく、大学卒業後に勤めた病院の同僚男性と「付き合うことを経験してみたかったが、お互いにすぐに冷めた」という程度だった。
「看護師という職業が、男性に優しいお母さん候補というイメージを抱かせるのか、合コンの機会自体はたくさんありました。でも、わたしは男性からの反応が良くなかったんです。片思いが続いて実らないことも何度かありました」
そう話すうちに、仕事が忙しくなり、里香さんは恋愛モードから遠ざかっていったという。2年間ほどは、友人にも会う暇がないほど仕事に集中していた時期があった。
「少し仕事が落ち着いた頃、しばらく会っていなかった同い年の友人から結婚の報告を受けたんです。その報告で、この2年の間に同世代はそんなことになっていたのだと、正直に言うと焦りを感じました。それが33歳のときでした」
この焦りが、彼女を婚活へと駆り立てる最初のきっかけとなった。