かつて国内総生産(GDP)で世界10位圏内に入り、「経済強国」とも称された韓国が、数年にわたる経済成長の停滞により、その地位から後退しつつある状況が明らかになった。特に、2022年には世界12位に転落した後、2025年にはスペインに追い抜かれ、さらに順位を下げて13位となる見通しが示されている。これは、国際通貨基金(IMF)が2024年6月27日に発表した世界経済見通し(WEO)に基づく最新の予測であり、韓国経済の現状と将来に対する懸念が高まっている。
IMFの最新の世界経済見通しによると、韓国の2024年の名目GDP(ドル基準)は1兆8697億ドルと予測されているが、2025年には1兆7903億ドルへと減少すると見込まれている。これにより、韓国のGDP順位は2024年の12位から、2025年には13位に低下すると予測されている。一方、スペインの名目GDPは、2024年の1兆7222億ドル(15位)から2025年には1兆7995億ドルへと増加し、韓国を上回る見込みとなっている。この予測は、韓国経済が先進国の中でも相対的に厳しい状況に直面していることを示唆している。
韓国は2016年に初めて世界10位圏内に入り、2020年には9位にまで順位を上げた実績を持つ。しかし、その後は新興国の台頭もあり、2022年にはロシアやブラジルなどに追い上げられ、12位に後退した経緯がある。今回のIMFによる2025年の13位へのさらなる後退予測は、韓国経済が直面する構造的な課題の深さを示していると言える。
成長の鈍化は韓国にとって深刻な問題であり、今や新興国だけでなく、かつてリードしていた先進国との競争においても遅れを取り始めている。IMFは、2025年の韓国の経済成長率をわずか1.0%と予測している。これは、新興開発途上国全体の平均成長率3.7%や、先進国全体の平均成長率1.4%をも下回る水準である。さらに、韓国銀行が0.8%、韓国の大手シンクタンクである現代経済研究院が0.7%、米国の大手金融機関JPモルガンが0.5%など、複数の主要経済予測機関が韓国の2025年の成長率を1%未満と見込んでおり、低成長の定着が懸念されている。
IMF予測により経済成長鈍化が指摘される韓国の都市景観
対照的に、経済規模が韓国と近いスペインは2.5%、オーストラリアは1.6%の成長が2025年に予測されており、これらの国々は新型コロナウイルスのパンデミック収束後も比較的良好な経済成長を維持している。IMFはさらに、2030年までに韓国がスペインに加え、オーストラリアやメキシコにも抜かれ、世界15位に転落する可能性も示唆しており、長期的な経済停滞への警戒感が強まっている。
もっとも、ドル換算の名目GDPは、その国の実質的な生産力や国民の購買力とは異なる側面も持つ。為替レートや物価の変動に大きく左右されるため、順位の変動が直ちに国民生活の質の低下を意味するわけではない。また、韓国では深刻な少子高齢化が急速に進んでおり、労働力人口の減少に伴う経済規模の拡大困難という構造的な要因も、GDP成長の足かせとなっている事実は見過ごせない。
経済専門家らは、単なるGDP順位の下落以上に、韓国の主力産業が国際的な競争力を失いつつあり、低成長構造が長期的に固定化される可能性を最も大きな問題点として指摘している。延世大学の名誉教授であるキム・ジョンシク氏は、韓国経済の現状について「スマートフォンや自動車などの主力産業において、中国に急速に追いつかれ、今後の輸出を大きく拡大することが難しくなっている」と分析する。さらに、「労働・税制・教育・企業に関連する制度が、急速に変化するグローバルな経済環境や技術革新のスピードに適応できていない。これが技術進歩や生産性の向上を妨げ、結果として経済成長率の低下を招いている」と述べ、構造改革の必要性を強調している。韓国経済は、短期的な景気変動だけでなく、より根深い構造問題への対応が喫緊の課題となっている。
(c)KOREA WAVE/AFPBB News
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