米国のS&P500指数やFANG+指数といった主要な株価指数に連動する投資信託は、多くの個人投資家にとって人気の積立対象です。しかし今年4月、「トランプ関税ショック」と呼ばれる市場変動を目の当たりにし、不安から保有資産を売却、その後の回復相場に乗り遅れてしまった投資家たちの声が聞かれます。特に、S&P500連動型投信から金へ乗り換えたある40代男性は、その判断を「大失敗」と振り返ります。
S&P500投資家、金へのシフトで乗り遅れる
都内在住のこの40代男性は、旧NISA時代からS&P500指数に連動する投信に毎月5万円を積立投資してきました。しかし、4月のトランプ関税ショックを機に相場の節目が変わったと判断し、資金を金投信にシフトしました。背景には、「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏がS&P500ETFを全て売却したとの報道もあり、関税ショックの余波で日米株がしばらく上がらないだろうとの読みがありました。5年以上続けた積立投資で資産はプラスだったものの、足元のV字回復相場に完全に乗り遅れてしまった形です。
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FANG+投資家、関税ショックで売却し回復逃す
より大きなリターンを狙い、積極的な投資を行ってきた50代男性も同様の経験をしています。彼は2023年から「iFree NEXT FANG+インデックス」で積立投資を行っていましたが、4月の関税ショックで20%以上値下がりした際に全て売却しました。昨年8月の日銀利上げや米国景気減速懸念による株価下落も経験していましたが、今回の「あらゆる国に高い関税をかける」という政策は次元が異なると感じ、「二番底、三番底をつけにいく可能性がある」と考えてしまったと言います。FANG+指数は、フェイスブック(現メタ)、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(現アルファベット)に加え、アップル、マイクロソフトといった「超高成長テック銘柄」で構成されています。
米トランプ政権による相互関税発表後、EUが米デジタルサービスへの課税を示唆したことも重なり、FANG+指数は2月高値から一時26%も急落しました。前出の50代男性はそのタイミングで手放してしまいましたが、その後FANG+は4月から5月にかけて見事なV字回復を見せ、史上最高値を更新し続けました。
底打ちを確認してから再び購入しようと考えていた50代男性は、「買うタイミングを完全に逸してしまいました」と悔いを滲ませます。これらの事例は、「関税ショック」のような突発的な政治・経済イベントに対する過度な反応が、結果として投資機会の損失につながる可能性を示唆しています。市場の短期的な動きに惑わされず、自身の投資戦略に基づいた冷静な判断の重要性を改めて浮き彫りにしました。
[出典] Yahoo!ニュース / 朝日新聞