歌舞伎俳優の松本幸四郎(52)が6日、東京・築地で行われた築地警察署の防犯イベントに「一日署長」として登場しました。このイベントは「築地警察署防犯イベント~地域の力でトクリュウ(匿名流動型犯罪グループ)壊滅!~」と銘打たれ、幸四郎さんは地域の防犯意識向上を訴えました。現在、同署管内の歌舞伎座で上演中の「七月大歌舞伎」夜の部「鬼平犯科帳」で主演の火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を務める幸四郎さんは、「鬼平」の装束で会場に姿を見せ、観客や地域住民から大きな注目を集めました。
築地警察署の一日署長としてピーポくんのぬいぐるみを受け取る松本幸四郎
「鬼平」として防犯を訴え、叔父への思い
幸四郎さんは、今回の「鬼平犯科帳」の上演が、この役を当たり役とした祖父の初代松本白鸚さん、そして叔父である二代目中村吉右衛門さんに捧げられていることに触れ、「個人的には叔父の鬼平を思い出していただくことをテーマにした」と語りました。吉右衛門さん版「鬼平」のエンディングテーマに使用されたジプシー・キングスの楽曲「インスピレイション」を今回の歌舞伎版でも採用し、観客に叔父を偲んでもらう意図を明かしました。役を通して防犯の重要性を訴える機会となったことへの特別な思いも語りました。
三代共演の特別な瞬間
また、舞台の見どころの一つとして、父・松本白鸚さん(鬼平の父・長谷川宣雄役)、自身(鬼平役)、長男・市川染五郎さん(青年期の鬼平・銕三郎)が三代で同じ舞台に立つ幻想的なシーンについて言及しました。幸四郎さんは「父と私とせがれの3人で同じ舞台に立つシーンを作りたかった。これは異次元な世界ではあるが、舞台でしかできないこと」と述べました。3人での共演時間は「本当に幸せでありがたい」とし、この貴重なひと月間を大切に勤めたいとの思いを改めて語りました。
市川ぼたん・團十郎との共演について
市川團十郎さんの長女、市川ぼたんさんが人気キャラクター・おまさの少女時代を好演していることについては、その稽古初日からの驚きと成長を絶賛。「キラキラしたものをこれ以上引き出せないか、それをしないともったいない」とその才能を高く評価しました。特に、舞台稽古から初日にかけての著しい成長に触れ、「今日はどれだけステップ、ジャンプするんだろうって楽しみ」と期待を寄せました。また、盗賊頭目の普賢の獅子蔵役を演じる團十郎さんとの迫力ある立ち回りにも言及し、「役として演じないといけないが、2人で刀を合わせることの現実の嬉しさでいっぱい」と語り、満面の笑みを見せ、共演者との関係性にも触れました。
一日署長として地域の安全を願い、同時に「七月大歌舞伎」という伝統ある舞台に立つ喜びを噛み締めた松本幸四郎さん。歌舞伎の継承と新たな挑戦への熱意が、防犯イベントという異色の場でも伝わってきました。
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