トランプ氏、大型減税法案に署名 所得税恒久化と財政悪化の懸念

米国のトランプ大統領は独立記念日の4日、政権公約の大型減税などを盛り込んだ法案に署名し、成立させました。法律は第1次トランプ政権時の減税措置の恒久化などが柱です。ホワイトハウスで署名式に臨んだトランプ氏は「経済はロケットのように飛躍するだろう」と述べましたが、減税などによる財政の悪化が懸念されています。

「一つの大きく美しい法」と呼ばれるこの法案は、米議会上院で1日、下院で3日に可決されていました。

この法律により、第1次政権時の2017年に導入され、2025年末に期限を迎える予定だった個人所得税の減税措置が恒久化されます。また、飲食店の従業員らが受け取るチップ、残業代への課税措置も廃止されます。

ワシントンで大型減税法案に署名するトランプ米大統領(7月4日)ワシントンで大型減税法案に署名するトランプ米大統領(7月4日)

大型減税法案への署名後にポーズをとるトランプ大統領(7月4日)大型減税法案への署名後にポーズをとるトランプ大統領(7月4日)

一方、減税の財源を確保するため、全米で7000万人超が加入する低所得層向け公的医療保険「メディケイド」の就労要件を厳しくする規定を設けています。これは利用者を減らして支出を削減する狙いがあり、今後10年間で1000万人超が無保険になるとの試算もあります。

独立記念日の祝賀でホワイトハウス周辺に上がる花火(7月4日)独立記念日の祝賀でホワイトハウス周辺に上がる花火(7月4日)

同法案を巡っては、企業や富裕層が恩恵を受ける一方、低所得者層に負担のしわ寄せがいくとの批判が強くあります。また、財源に乏しい内容で、米財政の大幅な悪化につながる可能性も指摘されています。

超党派の米議会予算局(CBO)は、減税などにより、2034年度までの10年間で財政赤字が3.4兆ドル(約490兆円)拡大するとの試算を示しました。トランプ氏は関税収入の増加によって財源の不足分を確保できると主張していますが、実現は難しいとの見方が多いです。

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